【小児歯科学】小児の口腔:乳歯の特徴 〜解剖学的特徴・組織物理学的特徴 〜

過去問を参照すると出題頻度は高くないです。

しかし、乳歯の特徴を知っておくとことは、歯冠修復の領域や抜歯の際に注意すべき事項など他の領域を理解するうえでとても重要。

基本的な内容を理屈を付けて学ぶことで、学習もより楽しくなります。

ぜひ、覗いていってください!

▼参考となる過去問はこちらから▼

【歯科医師国家試験】小児歯科学:小児の口腔 〜 乳歯・幼若永久歯の特徴 〜(計6問)

11/07/2019

解剖学的特徴

乳歯の解剖学的特徴

乳歯の解剖学的特徴

歯 冠

 ・男児のほうが女児より大きい。(臼歯を除く)

・色は青白色または白色で、透明性が高い
→CR修復時の参考(間違えることはないが)

・乳前歯と乳犬歯は後継永久歯に似ている。

・乳臼歯では頬舌径に比べて近遠心径が大きい

咬頭と咬頭が狭い
→インレー修復の辺縁が脆弱になります

咬頭間距離の違いによる辺縁の厚み

咬頭間距離の違いによる辺縁の厚み

・下顎第一乳臼歯では、特に歯帯の頬面歯頸隆線の豊隆が著明
→支台歯形成時に注意

歯頸部の狭窄が強く、乳臼歯に著明。
→マージン部に合わせて支台歯形成する際に露髄に注意

・隣接面と面接触
→齲蝕の好発部位になりやすいです

歯 根

・歯冠長に比較し歯根が長い

後継永久歯歯胚の存在

後継永久歯歯胚の存在

・上顎乳前歯歯根の1/2は唇側へ彎曲
後継永久歯胚の存在と関係します。

・強い歯根の離開
後継永久歯胚の存在と関係します。

・乳切歯,乳犬歯で1根,上顎乳臼歯で3根,下顎乳臼歯で2根が多い。

歯根数・根管数

歯根数・根管数

乳歯抜歯の留意点
後継永久歯の存在は乳歯抜去の際に注意が必要になります。一般的に乳臼歯歯根は離開が大きいですが、後継永久歯を抱えた歯根形態をしている場合は、歯胚を傷つけないように、歯冠を頬舌的に分割することがあります。

歯 髄

・歯髄腔の占める割合が永久歯よりも大きい。
露髄に注意です。

・乳臼歯では髄角の突出が著明である。
→窟洞形成時の露髄に注意が必要です。

・根尖部に側枝が多く,乳臼歯の髄床底には副根管が観察される。
根管充填時に髄床底も覆います。

・咬耗により第二象牙質の形成が著明。

組織・物理化学的特徴

乳歯永久歯のエナメル小柱走行の違い

エナメル小柱走行の違い

乳歯の組織学的特徴

・エナメル質の厚みは永久歯の約1/2
→窩洞が深く形成できないので、CRなどの歯質接着性が落ちることも

・石灰化不良な新産線がみられます。

・歯頸部付近のエナメル小柱の走行は平行または切縁方向に走行しています。
→ベベルを付与する必要がありません。

・高頻度にエナメル質の表層部で無小柱エナメル質がみられます。
→CRする際のエッチングを気持ち長めにします

・象牙質の厚さ永久歯の約1/2

・齲蝕や咬耗の進行により、第二象牙質の形成が顕著。

乳歯の物理化学学的特徴

・工ナメル質は永久歯より軟らかく,象牙質は同程度である.

有機質の含有率は永久歯と比較するとエナメル質,象牙質ともに高い。

気孔率および吸水率は永久歯と比較すると,エナメル質,象牙質ともに高い.

結晶粒子の大きさは,永久歯に比較して小さい。
→結晶粒子が小さいため、永久歯に比較して表面積(接触面積)が大きい。

上記の理由は、具体的には、酸に対する抵抗性が低い。すなわち脱灰しやすいということを意味します。

逆に、フッ化物の作用を受けやすいということも期待できます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

乳歯の特徴は今後の臨床的な学習を進めるうえでもとても重要です。

なので、理由を付けてしっかり学んでいただければと思います。

すてきな学習ライフを!

▼参考となる過去問はこちらから▼

【歯科医師国家試験】小児歯科学:小児の口腔 〜 乳歯・幼若永久歯の特徴 〜(計6問)

11/07/2019

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