
反射消失の正確な時期が気になる原始反射。
しかし、国家試験的には、よほど的外れな時期を答えなければ大丈夫です。
卒業試験等では圧倒的に大学の講義資料が必見となります。
国家試験レベルではどういった問われ方をするのかを過去問を通して練習していただければと思います。
▼参考となる過去問はこちらから▼
原始反射

新生児から乳幼児の初期にかけてみられるのが原始反射。
これらの反射の中枢は間脳から脳幹部にかけて存在すると考えられ、一般的に大脳皮質の発達にともない3〜6か月ころに消失します。
ちなみに、モロー反射も把握反射も木の上で生活していたころの名残りなんて言われている仮説もあります。
険しい大自然の中で生きていくのに必要な反射だったのかもしれませんね。
歩行反射
⾜を床につけて前進させると、歩行するように両脚を交互に屈曲・伸展させる反射です。
出生時からみられ、生後1ヶ月ほどで消失します。
モロー反射

頭部を持ち上げ、急に落下させると両⼿を広げて胸で何かを捉えようとする反射です。
出生時からみられ、生後4ヶ月ほどで消失します。
左右差がある場合は、異常を疑い精査が必要となります。
非対称性緊張性頸反射
頭を横に向けると、顔を向けた⽅の手足が伸展し、反対側は屈曲する反射です。
その姿勢からフェンシングスタイルなんて呼ばれることも。
出生時からみられ、生後5〜6ヶ月ほどで消失します。
バビンスキー反射
⾜の裏をくすぐると、足の指が扇状のように広がる反射です。
出生時からみられ、生後2歳ころで消失します。
把握反射(Darwin 反射)

⼿や⾜の裏で触れるものをつかもうとする反射です。
手で起こる反射を手掌把握反射といい、足で起こる反射を足底把握反射といいます。
手掌把握反射は出生時からみられ、生後3〜4ヶ月ころで消失。一方、足底把握反射は出生時からみられ、生後9〜10ヶ月ころで消失します。
このようにわずかながら手足で反射の消失する時期が異なるのも特徴的です。
飛び込み反射
体を⽀えて⾶び込むような姿勢をとると、両⼿を頭の先へ差し伸べる反射です。
生後9ヵ月から生じて、一生消失しない反射です。
生後にあらわれて消失するという原始反射の定義からは厳密にはズレていますが、一応、原始反射のカテゴリーに入れておいて損はないと思います。
緊張性迷路反射
頭の位置変化によって起こる反射で、生後3〜6ヶ月ころには消失します。
バランス感覚を発達させるために重要な反射で、前方緊張性迷路反射と後方緊張性迷路反射の2種類があります。
前方緊張性迷路反射はうつ伏せになって頭を前へ屈曲させると、体を丸めるように起こる反射。
後方緊張性迷路反射は仰向けになって頭を後方へ屈曲させると、体が反り返る反射です。
原始反射は大脳皮質の抑制を受けて消失します。しかし、大脳皮質に障害があると永続的に反射は残るので、臨床的には脳障害の診断に応用されます。
哺乳に関する反射

新生児が生きていくうえで欠かせないのが哺乳反射です。
難しい名前が並んでいますが、「探して→捕まえて→吸う→飲み込む」という一連の反射が起こっています。
目が見えない、話せない、そんな新生児が生きていくために生じさせている反射だと思ってもらえればと思います。
生後4〜5ヶ月ころから消失し始めて、離乳へと移行していきます。
口唇探索反射
刺激を受けた方へ顔を向け、乳首を探索しようとする反射です。
(口唇)捕捉反射
口唇と舌を使って乳首を口腔内へ捉えようとする反射です。
吸啜反射
口の中に乳首が入ると、乳汁を吸啜する反射です。
嚥下反射
乳汁等を飲み込む反射。
ちなみに原始反射の項目で扱っていますが、嚥下反射は生涯みられるため、
原始反射ではないです。
舌挺出反射
固形物を口に入れようとすると吐き出す反射。
生後5〜6ヶ月で消失し、離乳の開始時期の目安としてもみられます。
まとめ
国家試験的には難しくない反射ですが、大学の進級試験では難易度がわかれるところ。
おそらく、消失時期の違いから、上の表に加えて脳幹のどの部位で反射が起こるかを問う大学もあるかと思います。
症候群の症状を覚えることも一つの例ですが、そんなに一度だくさん覚えられないのが現実だと思います。
なので、たくさん覚える項目がある場合は、まずは定番のものだけを先に覚えていただければ幸いです。
▼参考となる過去問はこちらから▼
フェイシングではなくフェンシングではないでしょうか。