
本記事からいよいよ成長発育の内容に入ってきます。
まず、お話の流れとしては、『全身の成長』をみていきます。
成長という言葉を使っているので、形態的な変化のことを指しています。それでは、どんな形態的な変化かというと『身長、体重、頭囲と胸囲』です。
ということを踏まえて学習する際のポイントです。
・身長・体重・頭囲・胸囲の比較の表を覚える
・身長の成長速度変化が速いのは胎生期から新生児期にかけて
過去問を参照していただければわかると思いますが、極論、下にある表を覚えれば一丁あがりです。
▼参考となる過去問はこちらから▼
身長の変化
身長に関する値は教養のレベルで暗記しておいた方がいいと思います。
ただの生命現象なので、理屈抜き覚えていきたいです。
身長と体格との比率

日本人において、生まれたときの身長は、男の子が49.0cm、女の子が48.5cmです。
わずかに男の子の方が大きく生まれます。
そして、1歳のときには1.5倍の75cm。4〜5歳で2倍の100cmになります。
また、頭と身長の比率は、胎児のときに1:2。新生児では1:4から、成人では1:8となります。
神経系の発育の後を追って肉体が作られてくるわけですね。
まあ、人間の進化の過程を考えれば、脳が大事だしお先に成長しまっせといったところでしょうか。
2つの成長スパート
身長の増加は、Scammonの発育曲線の一般型(S字状曲線)をみればわかるように一定ではありません。
まずはじめに、胎生期から乳幼児期にかけて急激な成長がみられ、次に思春期で、もう一度ピークをむかえます。
乳幼児期にみられる急激な成長を第一急進期、もしくは第一次成長スパートといい、思春期にみられる成長を第二急進期、もしくは第2次成長スパートと呼びます。
そして、それらをグラフにあらわしものが成長曲線です。
さらに、そこから成長の速度をグラフ化にしたものが成長速度曲線になります。
成長速度曲線も同様に成長のピークが2つ。
しかし、成長速度をグラフにあらわした時に、
胎生期の成長速度がもっとも大きい
ことが明らかになります。
ここは、成長曲線理解するうえで重要なポイントです。
細胞レベルの生命体が臓器や体を作っているわけですから、それはそうだといったところかもしれません。
また、思春期の急激な成長を測る目安として、約1年前からエックス線写真で母指尺側種子骨の出現が確認されます。
ここもポイントの一つになるかと思います。
国試では特にこの成長速度曲線に絡んだ内容が多く出題されますので意識して勉強されるといいかもしれません。
体重の変化
体重の値
日本人の出生体重の平均は、男の子で3.04kg、女の子で2.96kg。
身長と同じように男の子の方がわずかながら大きく産まれてきます。
産まれてすぐ一時的に体重は減少しますが、生後3〜4か月ぐらいは、1日20〜30gと増加し、生後6〜7ヶ月ぐらいは1日で10〜17gほど増加します。
身長と同じく、年間の体重増加率は乳児期が最高となります。
そのあとは、思春期で再び一過性に増加。
そして、体重は生後4ヶ月で2倍、1歳で3倍、5歳では5倍の15kgとなっていきます。
新生児の生理的体重減少

生後3〜4日で、全体の約10%ほど体重は一時的に減少します。
この現象を生理的体重減少といいます。
そして、生理的体重減少の多くは皮膚から水分(汗以外)が蒸発していく、不感蒸泄が主になります。
お風呂に入った後は手の皮膚はふやけていますが、いつの間にか元に戻っていることがありますよね。これは、皮膚から水分が蒸発している現象で、新生児期にみられる生理的体重減少もこれと同じ理由です。
羊水の中から外界に飛び出したので、環境に適応すると同時に乾燥も生じます。
一時的には体重は減少しますが、母親が出産して退院するころ(約1週間ぐらい)にはもとに戻ります。
頭囲・胸囲の比較
出生時の頭囲は約33cm、胸囲は少し小さく32cmです。
頭囲は脳神経の影響を受けるため、胎児期にはすでに成人の60%まで到達しています。
そのあとは、肺や心臓の発育がみられるため1歳で胸囲と頭囲はほぼ同じになります。
1歳以降は、体格の成長にともない胸囲が大きなり、私たち大人のような体つきになっていきます。
まとめ
というわけで、『全身の成長=形態的変化=身長・体重・頭囲・胸囲の変化』でした。
最後にポイントをもう一度確認します。
・身長・体重・頭囲・胸囲の比較の表を覚える。
・身長の成長速度変化が速いのは胎生期から新生児期にかけて
まずは、上にあげた表のまとめが一番の山になります。
国試のみならず、卒業試験でも出題されてもおかしくないところなので、覚えていただけると幸いです。
▼参考となる過去問はこちらから▼
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