
アマルガム
アマルガムは歯科用金属のなかで唯一、成形充塡に用いられる材料である。歯髄に対する刺激性もなく、技工操作も必要としないことから、以前は臨床において使用されてきた。しかし、近年は環境への影響が問題となり、使用頻度は減少してきている。
特 徴
適応
①臼歯部内側性窩洞
→1級が最適応。2級でも症例によっては適応となる。
ただしMOD窩洞のような外側性の窩洞に近い場合には適応とならない。
②歯根尖切除術の逆根管充塡
→最近はEBA セメントを使用する。
術 式
① 窩洞形成
1)窩洞外形
・メタルインレー窩洞に比べてイスムスの幅は広くする
2)保持形態
・歯質接着性がないためアンダーカットが必要→ 角形穿下
3)抵抗形態
・髄側軸側線角を丸めるリバースカーブ←アマルガムの破折を防ぐため
・近遠心壁は外開きとする→歯質の破折を防ぐため
4)窩縁形態
・ 窩縁斜面は付与しない。←縁端強さは小さいため。
→窩縁隅角は90度(バットジョイント)とする。
②混汞(こんこう)
・規定されている合金水銀比を計量。そのあと、アマルガムミキサーで機械的練和を行う。
③塡塞・彫刻
・練和したアマルガム泥をアマルガムキャリアー(輸送器)で窩洞へ。
・アマルガム充塡器で圧接を行う。次にバーニッシュを行う。
・アマルガムカーバーでカービングを行う。
④咬合調整・研磨
・次回来院時に行う。
・アマルガムは熱によって分解すると水銀が遊離。したがって、研磨は低速回転で行う必要がある。
取り扱い
材料としての水銀は医療従事者の安全保持や、排水汚染については十分に注意しなければならない。
① 水銀は揮発性のため、換気を十分に行う。
② まめに清掃する
③ 素手で硬化前のアマルガムに触れない。
④ 練和する際は、気密性の高い容器を使用する。
⑤ ラバーダムを使用し、余剰アマルガムは確実に回収する。
⑥ アマルガムの除去は注水下、低速回転で行う。熱は発生させない。
⑦ 回収したアマルガムは水中に保管。
⑧ アマルガム専用のバキュームを使用する。
⑨ アマルガムの除去時はアマルガムの切削量を少なくする。
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