
それでは、今回は骨の形成と吸収をみていきたと思います。
今回の内容は骨の有機成分や無機成分が端的な暗記項目なのに対して、骨の形成と吸収の範囲はとても重要な内容です。
ポイントは以下の2つです。
①骨の形成様式を理解する
②破骨細胞と骨芽細胞の関わりを理解する。
それらを踏まえたうえで、骨形成から吸収、そしてリモデリングについて記載していおこうかと思います。
▼参考となる過去問はこちらから▼
骨形成
それでは、まずは骨形成からです。
骨形成には、直接骨形成を行う「膜性骨化」と、軟骨細胞らがしだいに骨に置換する「軟骨性骨化」の2つがあります。
その後、骨が作られたあとは、基質小胞性石灰化とコラーゲン性石灰化の2段階で、骨基質の石灰化がおこなわれます。
石灰化については後ほどの記事で扱いたいと思います。
膜性骨化

膜性骨化は、骨芽細胞が直接的に骨形成を行います。
Ⅰ型コラーゲンと少量の非コラーゲン性タンパク質を合成・分泌。類骨を形成します。
その後、基質小胞の助けをかりて類骨に石灰沈着を起こします。
そして、骨芽細胞の一部は、石灰沈着した骨のなかに埋め込まれて骨細胞となります。
基質小胞は骨端軟骨や外套象牙質などの石灰化開始点にみられる膜性の小胞。骨や象牙質、セメント質などの石灰化開始機構に重要な役割をはたしていると考えられています。
軟骨性骨化(間接骨化)
軟骨性骨化は、まず軟骨が作られます。その後、軟骨が骨に置換されるという段取りをふみます。
具体的には、肥大軟骨細胞によって軟骨マトリックスに多数の基質小胞が出現し、石灰化がはじまるということです。
しかし、軟骨マトリックスには多量のプロテオグリカンが存在するため石灰化はごくわずかです。
また、軟骨性骨化は、手足の長骨を中心に広範囲にみられます。
「骨の成長様式」というものとの違い

膜性骨化や軟骨性骨化と聞くと、骨の成長様式(骨膜性・縫合性・軟骨性)を思い出します。
ほぼ同じようなものだと思っていただければと思います。
骨芽細胞が骨を作り、骨の厚みや太さが増加するのものを骨膜性骨成長と呼びます。そして、その骨芽細胞が縫合部の骨端で骨を作れば、縫合性骨成長と呼ばれます。
軟骨性骨成長は軟骨性骨化だと思ってくださればと思います。
つまり、「成長」がつけば、骨の厚みや太さの変化に注目しますし、「骨化」がつけば、そのまま骨化のことを述べているだけということです。
骨吸収

骨吸収の主役は破骨細胞。骨表面に接着したあと、タンパク質分解酵素や酸を放出して骨吸収を行います。
そして、破骨細胞による骨吸収は、ホルモンやサイトカインによって調節されいています。
① 副甲状腺ホルモン〈PTH〉
② 活性型ビタミンD3
③ プロスタグランジンE2〈PGE2〉
④ インターロイキン1、6〈IL-1、6〉
① カルシトニン
まずは、破骨細胞を活性化
破骨細胞はそのままでいるのではなく、まずは破骨細胞前駆細胞というもので存在しています。
そして、その破骨細胞前駆細胞を破骨細胞へ分化させるためには、骨芽細胞が密接に関わってきます。
骨芽細胞は副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミンDあるいはプロスタグランジン(PGE)などの骨吸収促進因子の刺激を受けると、マクロファージコロニ一刺激因子(M-CSF) を合成・分泌。
それと同時に、細胞表面に破骨細胞分化因子(ODF:RANK) を発現します。
M-CSFが破骨細胞前駆細胞のM-CSF受容体にが結合すると、細胞表面にODF受容体(RANK) を発現。
ODFとODF受容体が直接結合することで、前駆細胞から破骨細胞へと分化します。
RANKLとRANKの整理も重要ですね。
・RANKL:receptor activator of NF-κ B ligand)
=破骨細胞分化因子
= OPGL(osteoprotegerin ligand)
= TRANCE(TNF-related activation-induced cytokine)
・RANK(receptor activator of NF- κ B)
=RANKL のレセプター
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👩⚕️『#RANKL #RANK』🦴🦌RANKL🦌
ーーーーーー
骨芽細胞に発現🙋♀️🦄RANK🦄
ーーーーーー
破骨細胞前駆細胞に発現👩💼織田裕二風に…。
『RANKLは下にくる〜〜〜』
下(イラストから骨芽細胞を下と考える)
くる(RANKLのKLから)#歯科医師国家試験 #歯科国試 #生化学 pic.twitter.com/2diYaMxTXL— DENTAL YOUTH/歯科医師国家試験/CBT/歯学部向け個別指導塾 (@DentalYouth) June 6, 2020
破骨細胞による骨吸収
分化した破骨細胞は、インテグリンを介して、骨マトリックスに存在するオステオポンチンなどのRGD(アルギニンーグリシンーアスパラギン酸)配列を認識して骨表面へ接着します。
その後、接着面(明帯)によって囲まれた部位は波状縁を発達。炭酸脱水酵素(Il型)によって作られた水素イオンやカテプシンLなどのリソソーム酵素が分泌され、骨の無機成分や有機成分が分解されます。
▼インテグリンやRGD排列についてはこちら▼
骨のリモデリング

骨組織は、骨吸収と骨形成を行い、絶えず古い骨組織を新しく作り替えています。
これを骨のリモデリングと呼びます。
骨吸収と骨形成は連続して起こしているので、骨吸収のときに骨芽細胞を活性化して骨形成を促進する因子(カップリングファクター)の存在も考えられています。
カップリングファクターとは、骨芽細胞の活性化に働く細胞増殖因子です。骨基質中に含まれ、破骨細胞による骨の分解と共に遊離し、骨芽細胞を活性化させます。
休止期
休止期にある骨は、 bone lining cell と呼ばれる休止状態の骨芽細胞によって覆われています。
活性化期
bone lining cell が副甲状腺ホルモンや活性化ビタミンDあるいはプロスタグランジンなどの骨吸収促進因子の刺激を受けると、破骨細胞分化因子(RANKL) を発現し、RANKとの結合によって、破骨細胞前駆細胞を破骨細胞へ分化させます。
吸収期
分化した破骨細胞は骨表面へと接着。破骨細胞の波状縁部からさまざまなタンパク質分解酵素や酸が分泌され、石灰化基質の分解が起こります。
逆転期
分解された骨基質中からはBMPやTGF-β などが遊離し、破骨細胞の機能を抑制します。
反対に骨芽細胞の分化や機能を促進させます。
形成期
骨を吸収された部位に骨芽細胞が移動。もう一度、新たな骨組織を形成します。
骨芽細胞の一部は骨基質中に埋め込まれて骨細胞になり、他の骨芽細胞は骨表面に残りbone lining cell となります。
まとめ
最後にもう一度まとめます。
①骨の形成様式を理解する
②破骨細胞と骨芽細胞の関わりを理解する。
破骨細胞はかなり重要な細胞なので、下の記事と照らし合わせながら理解していただけれると幸いです。
▼参考となる過去問はこちらから▼
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