
いままでは細胞外マトリックスに存在するものがどのように作られ、どのような種類があるかをみてきました。
最後は、それら細胞外マトリックスがどのように分解されるかです。
細胞外マトリックスの主な成分はタンパク質とグリコサミノグリカンで、それらを分解する酵素にマトリックスメタロプロテアーゼやセリンプロテアーゼといった酵素があります。
国試的なポイントととしては
コラゲナーゼがどういったものか
この一択を抑えていただけばと思います。
学習内容としてはコラーゲンを分解する酵素なので、歯周病原菌の話などと繋がります。
▼参考となる過去問はこちら▼
目次
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とは
マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinase、MMP)はタンパク質を分解する酵素の総称です。
コラーゲンやプロテオグリカン、エラスチンなどの細胞外マトリックスを分解していきます。
酵素と基質が反応する部位に金属イオン(亜鉛イオンやカルシウムイオン)が存在しているため、メタロという言葉を使っています。
コラゲナーゼ
コラゲナーゼはコラーゲンを分解する酵素です。
コラーゲンという言葉と酵素の命名に用いられる接尾辞アーゼ(-ase)をくっつけた名前です。
種類は動物性コラゲナーゼと細菌性コラゲナーゼの2種類が知られています。
動物性コラゲナーゼ

動物性コラゲナーゼには、線維芽細胞や骨芽細胞など組織を構成する細胞によって生産。
組織のリモデリングに関わる間質コラゲナーゼ(MMP-1) と、組織の炎症時に出現し好中球やマクロファージによって産生される好中球コラケナーゼ(MMP-8) があります。
コラーゲン分子を三本鎖ヘリックスの構造のままでN末端からおよそ3/4のところで切断します。
細菌性コラゲナーゼ

細菌コラゲナーゼは、ガス壊疸菌など生産する酵素。
コラーゲン分子中のグリシン残基の前を加水分解していきます。グリシン前で切断されるため、ペプチド鎖は200箇所以上にもバラバラにされ(Gly-X-Y) のようなペプチドが大量に生じます。
細菌の出す酵素によって組織がボロボロになるのも納得です。
ゼラチナーゼ
ゼラチナーゼはコラゲナーゼで分解されたコラーゲンの断片、ゼラチンを(さらに、体温などで熱変性しゼラチンへ)をさらに低分子化する酵素です。
基底膜を構成するⅣ型コラーゲンを分解することから、Ⅳ型コラゲナーゼとも呼ばれます。
分子量の違いから、MMP-2、MMP-9の2種類が存在し、MMP-2は間葉系細胞によって、MMPー9は炎症性細胞や上皮細胞から合成されます。
ストロムライシン
ストロムライシンは基質へ特異性が低く、プロテオグリカンやラミニンなどさまざまなマトリックス成分を分解します。
コラーゲンを分解するのはコラゲナーゼの役割なので、ストロムライシンは分解しません。
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼは酵素と基質が結合する部位にセリン残基があり、主に細胞外で働く酵素です。
炎症時に浸潤してくる好中球が分泌する好中球エラスターゼとカテプシンGがあります。
好中球エラスターゼ
分解する対象はⅢ型コラーゲンやⅣ型コラーゲンの三本鎖ヘリックス部分を切断します。
さらに、I型、Ⅱ型およびV型コラーゲンの架橋領域やアグリカン、フィブロネクチンを分解していきます。
カテプシンG
カテプシンGは、好中球や単球のアズール顆粒中に貯蔵。
カテプシンGはI型コラーゲンの三本鎖を限定的に分解するほか、 Ⅰ型、Ⅱ型コラーゲンの非ヘリックス部分、フィブロネクチン、アグリカン、エラスチンを分解していきます。
プロテオグリカンの分解
プロテオグリカンの分解は、ストロムライシンやエラスターゼなどのプロテアーゼによるコアプロテインの加水分解を受けます。
その後、コンドロイチナーゼやヒアルロニダーゼによる糖鎖部分の切断、コンドロスルファターゼによる硫酸基の除去、グルコシダーゼによる単糖への分解されます。
まとめ
というわけで、セリンプロテアーゼやストロムライシンなど書いてますが、なんといっても
コラゲナーゼがどういったものか
これこれ一択でいいかと思います。
▼参考となる過去問はこちら▼
コメントを残す