
いきなりラミニンやらフィブロネクチンやら名前を挙げられても困るのが「接着性タンパク質の内容」。
プロテオグリカンやグリコサミノグリカンの範囲と同じように普段から馴染みがないかと思います。
それらを踏まえてあえてポイントをあげるとすると
・細胞に接着するアミノ酸配列の一つ『RGD配列』という存在は知っておく。
・RGD配列を含むタンパク質などは暗記しておく。
・インテグリンがどういう存在かを知っておく。
といったところでしょうか。
あとはフィブロネクチンとラミニンはざっくりでいいかと思います。
接着性タンパク質と言うととても幅広くなりますが、今回は細胞外マトリックスと細胞膜に存在していものを一部(歯学部に向けて)ご紹介します。
▼参考となる過去問はこちら▼
接着性タンパク質とは

接着性タンパク質とは、細胞外マトリックスや細胞と接着する領域を持っている糖タンパク質です。
接着性タンパク質の共通する構造は、細胞と結合する領域、細胞外マトリックス(コラーゲンやヘパラン/ヘパリン硫酸)と結合する領域、そして、接着性タンパク質同士が結合する領域にわかれます。
接着性タンパク質のおかげ、細胞は細胞外マトリックスとくっついているということですね。
「なにか」と「なにか」をくっつけさせるものといわれてみれば、それはそうだなと思います。
接着性タンパク質の種類
接着性タンパク質の種類をあげたらきりがありませんね。
でも、ここで面白いのは、口腔外科の範囲で出てくるvon willebrand因子やフィブリノーゲンも接着性タンパク質として分類される点です。
また、後に出てきますが、細胞と接着するアミノ酸配列のほとんどがRGD配列というのも納得です。
フィブロネクチン

フィブロネクチンは、線維芽細胞や内皮細胞の表面など細胞同士の接着面に存在する糖タンパク質です。
接着性タンパク質の例にもれることななく、フィブリンやヘパリンなど細胞外マトリックスと結合する領域やコラーゲンと親和性の高い領域、細胞表面やヘパリンと結合する領域からなります。
細胞を接着させたり、伸展させたりする上で重要な役割を担っています。
また、細胞が癌化するとフィブロネクチンが減少または消失するため、癌細胞の特異な形態や転移は、フィブロネクチンの喪失によるものなのではないかとも考えられています。
ラミニン

ラミニンはⅣ型コラーゲンやパールカンとともに基底膜を構成する主要成分の1つです。
基底膜への細胞接着において中心的役割を果たします。
ラミニンを構成する3本のサブユニット(α,β,γ) には、各サブユニットに複数の種類があり、それらの組み合わせによって少なくとも12 種類の存在していると考えられています。
ラミニンは人間以外にも、ショウジョウバエや線虫にも存在しており、多細胞動物の、特に上皮組織の構築に関係していると考察されています。
テネイシン
テネイシンはフィブロネクチンとは異なり、限られた組織内存在します。
特に発生初期の歯や神経、乳腺などの間質や、腫瘍組織、創傷部の肉芽組織などにみられるため、器官形成や組織改造に関与していると考えられています。
ビトロネクチン
血漿中に大量に存在するタンパク質。
血液中のビトロネクチンのほとんどは肝臓で合成されます。
RGD配列
RGD配列はフィブロネクチンやラミニンなどの細胞接着に関わるアミノ酸配列です。
アルギニン ー グリシン ー アスパラギン酸というアミノ酸の配列をしているため、各アミノ酸の一文字略称をとって、RGD配列と呼ばれています。
Arg:アルギニンの『R』
Gly:グリシンの『G』
Asp:アスパラギン酸の『D』
そして、RGD配列は、ビトロネクチンやフィフリノーゲン、コラーゲン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、テネイシンなど、接着機能を持つ糖タンパク質に発見されています。
接着に関わるアミノ酸の配列はラミニンなどにみられますが、Tyr-lle-Gly-Ser-Arg (YIGSR) やPro-Asp-Ser-Gly-Arg (PDSGR) など他のアミノ酸配列も発見されています。特にこれらは、上皮性細胞との接着に関与すると考えられています。
・骨シアロタンパク
・オステオポンチン
・フィブロネクチン
・ビトロネクチン
・ラミニン
インテグリン

インテグリンは細胞表面に存在する糖タンパク質です。
細胞外マトリックスに存在する接着性タンパク質やコラーゲンと結合する役割を担っています。そして、結合する部位は接着性タンパク質たちがもっているRGD配列(他にもあります)です。
また、細胞膜を貫通しているため、細胞内でアクチンフィラメントなどの細胞骨格系とも結合しています。
インテグリンは細胞膜を貫通し、a鎖とβ鎖の2つのサブユニットから構成されています。
これらのサブユニットにはさらにいくつかのサブクラスが存在し、それらa鎖とβ鎖の組み合わせで結合する相手が決まることも明らかにされています。それらをまとめて、インテグリンスーパーファミリーと呼ばれたりもしています。
ここで、整理しておきたいのが
ラミニンやフィブロネクチンが細胞外マトリックスの中にぷかぷか存在しているのに対して、インテグリンは細胞表面に存在しているということです。
さらに、インテグリンが面白いところは、刺激されて活性化するというところです。普段は折りたたみナイフのようにしぼんでいて、刺激を受けると構造を変化させて細胞外マトリックスと結合します。
その点も考えると、やはり上記の接着性タンパク質たちとは少し異なりますね。
ほかにも、細胞膜に存在していて、細胞と細胞を結合させるために存在するカドヘリンなんかもいます。
このカドヘリンは、デスモゾームとかの話で出てくるものです。
まとめ
理解し始めるとしだいにおもしろくなってくる内容ですが、国試までに時間もないことを考えると、最低限はRGD配列をもっているタンパク質は覚えておきたいです。
・骨シアロタンパク
・オステオポンチン
・フィブロネクチン
・ビトロネクチン
・ラミニン
Arg─Gly─Asp(RGD)配列をもつのはどれか。
a アクチン
b インテグリン
c アメロゲニン
d ラクトフェリン
e フィブロネクチン
そんな出題されていませんが、ぜひ過去問も参照ください。
▼参考となる過去問はこちら▼
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