
あまり馴染みのないプロテオグリカン。
国家試験的にはそこまで深堀りしなくてもよいかと思います。
攻略としての優先順位は、
①プロテオグリカンとグリコサミノグリカンの関係を整理する。
②ヒアルロン酸はグリコサミノグリカンの一つだといった物質の種類や分類がわかるようにする。
③アグリカンはプロテオグリカンの一つだといった物質の種類や分類がわかるようにする。
といったポイントを押さえつつ、言葉に慣れることをゴールにしていただけばと思います。
馴染みがない物質名が続く内容ですが、私たちの生活の中ではしっかり身近に潜んでますので、ぜひ、身の回りも確認してみてください。
▼参考となる過去問はこちら▼
目次
プロテオグリカンとは

基底膜や皮下組織などさまざまな結合組織に豊富に存在する細胞外マトリックス(基質)のプロテオグリカン。
コアプロテインと呼ばれる1本のポリペプチド鎖にグリコサミノグリカンと呼ばれる糖鎖が結合した複合糖質の一つです。
分子内に水酸基が多いため、大量の水と結合します。
この大量の水と結合する親水性はクッションとして組織の保護に働きます。したがって、関節軟骨などヒトが運動するときに衝撃をやわらげる組織に多く含まれています。
関節や腱鞘内では滑液の役目を果たしてくれているというわけですね。
私たちの体は、糖質、タンパク、脂質に分解できますが、その次の段階は、それらの物質が結合している状態です。例えば、糖質とタンパク質、糖質と脂質といったように結合します。そして、そのように糖質と「タンパク or 脂質」と結合したものを複合糖質といいます。糖質とタンパク質が結合すれば糖タンパクと呼び、糖質と脂質が結合すれば糖脂質と呼びます。しかし、糖タンパクと呼ばれる時は、タンパク質に糖がほんの少し結合した状態の時に呼称されます。一方で、プロテオグリカンはタンパク質にたくさんの糖質が結合しているので、糖タンパクという呼ばれ方とは分けられることがあります。それでも、プロテオグリカンは糖とタンパク質が結合しているので、包括して複合糖質と考えられます。
グリコサミノグリカン
改めて確認します。
プロテオグリカン=コアプロテイン+グリコサミノグリカン
というわけで、相方のグリコサミノグリカンが重要なので、そちらをみていきます。
グリコサミノグリカンは2種類の単糖の繰り返し構造をとります。
そのうち1つは必ずヘキソサミン(グルコサミンまたはガラクトサミン)で、大部分はN—アセチル化しています。
もう1 つは、窒素を含まないウロン酸です。
しかし、ケラタン硫酸のみは、ウロン酸の代わりにガラクトースを含みます。

グルコースみたいなのが2つくっついているというのがとにかくの考え方です。
そして、片方は窒素を含むといった具合です。
ヒアルロン酸

最初、ウシの眼球のガラス体から分離、精製されグリコサミノグリカンです。
他のグリコサミノグリカンがコアタンパク質に結合し、プロテオグリカンとして合成されるのに対して、
ヒアルロン酸のみは高分子量の糖鎖のまま組織内に存在します。
下のような感じで、他のグリコサミノグリカンに比べてとにかくでかいんですね。

コンドロイチン硫酸

コンドロイチン硫酸は、体内で最も豊富なグリコサミノグリカンです。広く結合組織に存在しています。
加齢と共に減少するため、ドラックストアなどで薬品で補充する形として売っています。
また、目薬などにも保湿成分として含まれます。
ケラタン硫酸
ケラタン硫酸は成熟した軟骨や椎間板、角膜に限って存在しているグリコサミノグリカンです。
鎖中にウロン酸を含まないのが特徴です。
ヘパリン
やや特殊なグリコサミノグリカンとしてはヘパリンがあります。マスト細胞(肥満細胞)中に存在し、肺や肝臓から分離されます。
薬理学的特徴としては抗凝固薬として活躍しています。
といわけで、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸といった名前が出たらグリコサミノグリカンだ!とアウトプットできればいいかと思います。
プロテオグリカンの種類
先程は、グリコサミノグリカンの種類をみたので、今度はプロテオグリカンの種類についてみていきたと思います。
現在までに、30種類以上のプロテオグリカンが発見されています。
ここでは、主なものを記載しておきます。
アグリカンとパールカンがどこの組織に分布するかぐらいでよいかと思います。
アグリカン

軟骨に存在するプロテオグリカン。約90%も占めます。
軟骨基質のコラーゲン線維の間を埋め尽くすように存在で、組織に弾力性をもたせています。
パールカン

基底膜を構成するプロテオグリカン。グリコサミノグリカン鎖として主にヘパラン硫酸を含みます。
上皮細胞や内皮細胞などの基底膜を構成する細胞だけでなく、線維芽細胞などの結合組織を構成する細胞によっても合成されます。また、ラミニンやV型コラーゲンとの強い結合能があり、基底膜を構成する主要分子相互間に深く関与してます。
電子顕微鏡で、真珠が連なった像からパールと呼ばれるようになったとのことです。
バーシカン
アグリカンと同じ大型のプロテオグリカ。その機能として細胞接着の抑制があげられます。
形態形成期や癌化の過程でみられる細胞移動や細胞の形態変化などの調節への関与が考えられています。
シンデカン
ヘパラン硫酸およびコンドロイチン硫酸を結合した膜貫通型プロテオグリカン。
細胞接着や血液凝固への関与も考えられています。
デコリン
デコリンは骨以外の結合組織にも広く分布しているプロテオグリカンです。
細胞外マトリックス成分やさまざまな成長因子と作用しあい、癌化や創傷治癒など、中心的な役割を果たしていると考えられています。
ビグリカン
ビグリカンもデコリン同様、骨以外の結合組織に広く分布しています。
フィブロモデュリン
フィブロモデュリンは軟骨や腱に多く存在するプロテオグリカン。グリコサミノグリカン鎖にケラタン硫酸を含有しています。
フィブロモデュリンはコラーゲンに対する親和性が高いです。in vitro では、コラーゲン線維の形成を制御することが知られています。
ルミカン
ルミカンは角膜,心房に多く存在するプロテオグリカン。
グリコサミノグリカン鎖にケラタン硫酸を含有しています。
と文章量からわかるようにアグリカンとパールカンは最低限押さえてほしいところです。
まとめ
というわけで、参考の過去問からもお分かりかもしれませんが、正直あまり出題されません。
しかし、108回でも出題されているのでほっとくわけにもいかないというところがあります。
(当時だと必修ですね)
108C8
グリコサミノグリカンはどれか。1つ選べ。
a ヒストン
b ラミニン
c アラキドン酸
d フィブロネクチン
e コンドロイチン硫酸
102B27
細胞外マトリックス分子で正しいのはどれか。2つ選べ。
a ヒアルロン酸は高度に硫酸化されている。
b グリコサミノグリカンは分枝状糖鎖である。
c アグリカンは軟骨プロテオグリカンである。
d パールカンは基底膜プロテオグリカンである。
e デコリンはグリコサミノグリカン鎖を2本もつ
最後にもう一度まとめます。
①プロテオグリカンはグリコサミノグリカンとコアタンパクで出来ている。
②ヒアルロン酸はグリコサミノグリカンの一つだといった物質の種類や分類がわかるようにする。
③アグリカンはプロテオグリカンの一つだといった物質の種類や分類がわかるようにする。
ということを考えると…。
単純に言葉に慣れる!!
これが意外にもゴールかもしれません。
ヒストンやらラミニン、アラキドン酸、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸…。
その他諸々の物質名が並べられたらなかなか答えづらいかもしれません。
なので、まずは暗記するというハードルは下げて言葉に慣れることが意外にも生化学の苦手意識を取り除く手立てかもしれませんね。
▼参考となる過去問はこちら▼
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