手用根管切削器具(2020年1月10日更新)【歯内療法学】



ISO規格により作成され、手用として使用される。弾性係数が大きく硬いため、直進しやすい。

形 状

リーマー

・断面形態が正三角形。

・主としてリーミングで使用。ファイリングでは切削効率が悪い。

・テーパーを有するステンレススチール線をねじって製作されている。

Kファイル

・断面形態が正方形。

・ファイリング(牽引操作)や リーミング(回転操作)、または、これらを組み合わせた操作で使用することができる。そのため、適応が広い。

・テーパーを有するステンレススチール線をねじって製作されている。

Hファイル

リーミングには適さないが、ファイリングで高い切削効率をしめす。

・ステンレススチール線を切削加工し製作。

ISO規格

① 尖端の太さ(D1)は(号数×1/100)mm

② 刃部は16 mm、尖端の角度は75±15度

③ D1 からD2は2/100 mm 太くなる(0.3 mm)

④ 器具の長さは21 mm、25 mm、28~ 31 mm

⑤ 把柄部はカラーコードで色分けされている。

⑥ 灰がNo.8、紫がNo.10、No.15以降は白→黄→赤→青→緑→黒の順となる。

⑦ 1サイズごとにナンバーが5 増えるが、No.60以降は1 サイズごとにナンバーが10増える。

操作法

ファイリング(牽引操作)

・器具を根管壁に擦りつけながら小刻みな上下運動。象牙質を掻き上げて切削する。

・Hファイルで効率的に行える。

・過剰切削や根管の直線化、削片による根管の閉塞には注意。

円周ファイリングは断面が楕円形などの根管で、根管壁をくまなく切削することを期待して根管全周に行うこと。

リーミング(回転操作)

・リーマーを根管内で正回転させて引き抜く方法。

・H ファイルでは破折の危険があるので行わない。

・断面が円形以外の根管では中心部のみ選択的に切削され未切削部が残存しやすい。→彎曲根管では根管の直線化が生じやすい。

ターンアンドプル

・1/4回転させて根管壁に食い込ませて引き抜いて切削する方法。

・Kファイルが適している。

・比較的エラーが少ない方法とされている。

ウォッチワインディング

・根管内を30~60度の幅で正回転/逆回転を器具に加えながら進む方法。

・軽い力を加えながら正回転で刃を象牙質に食い込ませ、逆回転させた際に切削する.

・根管が細く器具が根尖方向に進みづらい場合に有用。

バランスト・フォース法

・ファイルが根管壁に食い込むまで挿入し、60~90度正回転。その後、根尖方向に圧を加えながら120~180度逆回転に動かして切削する方法。

・効率がよく根管の直線化も少ないとされるが、日本ではあまり行われていない。

注 意

① 切削は根管内を洗浄液で濡らした状態で行う。洗浄液が潤滑剤として作用する。適宜、カーボワックスなどの潤滑剤を含む拡大補助剤(RC-Prepなど)を使用する。

② 器具に強い力を加えて操作しない。 器具破折や根管の直線化などをリスクが高まるため。

③ 器具が進みづらい場合は、前のサイズに戻って形成。

④ 器具の交換のたびに根管洗浄を行う。

⑤ 永久変形(刃部の延びなど) が生じた器具は使用しない。

⑥ 刃部に詰まった削片は随時アルコール綿などで拭い取る。削片による根管の閉塞や切削効率の低下が生じる。

⑦ 彎曲根管では、先端をあらかじめ曲げた状態で用いる。このことを特にプレカーブの付与という。



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