ポンティック(2020年1月29日更新)【クラウン・ブリッジ学】



ポンティック

ポンティック

ポンティックは欠損部位や欠損部顎堤形態から審美性や自浄性を考慮する。一般的に前歯は審美性、臼歯は自浄性を重視することが多い。

ポンティック基底面による分類

清浄性の維持

ポンティックに求められる清浄性は唾液や食片および舌・頬の動きによる自浄性と口腔清掃により獲得されるものを合わせて考える。ポンティック基底面の清浄性を保っためには、ポンティック基底面形態および歯間空隙をいかに設定するか、また、どのような材料を選択するかを考える。

そういったことを踏まえると、離底型はリッジラップ型のような顎堤に接触しているタイプに比べて清掃性が良いことになる。

構音機能

構音機能については前歯部の歯間空隙が大きい場合に影響することが多い。また口蓋側の大幅な縮小により構音障害が生じる場合もある。構音機能を阻害しないために、天然歯の形態に近いほうが望ましい。

審美性の確保

ポンティックが審美的であるためには、自然観のある頬(唇)側面の豊隆や歯頸線・歯間空隙が設定されなければならない。

そういったことを踏まえると、離底型はリッジラップ型のような顎堤に接触しているタイプに比べて審美性が悪い。

快適性

快適性を得るためのポンティック基底面の条件は抜歯によって失われた形態がもとのように回復されることである。それは歯間空隙が可及的に狭く、口蓋側からの立ち上がりも天然歯に近い形態をしていることである。

そういったことを踏まえると、離底型はリッジラップ型のような顎堤に接触しているタイプに比べて快適性が悪い。

形態的分類

鞍状型

顎堤粘膜に広い面積で接触し外観的には歯槽堤から歯が生えているようにみえる。しかし、清掃性が確保できないため可撤性ブリッジのみと限定される。

有床型

床形態を有するポンティック基底面で顎堤粘膜を広く覆う形態である。歯の喪失に伴って歯槽骨が大きく吸収した場合などに適応することが可能で、リップサポートの回復も行える。

しかし、固定性ブリッジでは清掃性が確保できないので可撤性ブリッジのみ適応となる。

有根型

抜歯窩にポンティックが嵌入する。抜歯した直後に装着される即時ブリッジに適応される。

オベイト型

粘膜接触型ポンティック。凸面状の基底面が顎堤粘膜の陥凹部に入り込むため審美性に優れている。顎堤部に陥凹部を形成するための補綴前処置が必要となる。しかし、自浄性が悪いのが欠点である。

離底型

顎堤粘膜から2〜3mm以上離れているポンティック形態。プラークの為害性が直接歯周組織に影響を受けない。しかし、装着感と審美性の点で劣る。

また、離底型が持っている欠点から審美性と発音に影響が少ない下顎臼歯部、あるいは臼歯部の延長ブリッジに用いられる。設計の際は、ポンティックの厚さは2mm以上必要であるため、顎堤間距離が最低4mm以上ないと用いることができない。

偏側型

顎堤頂よりやや唇頰側寄りの粘膜に線状に接触させ、舌側面に向かって三角形の空隙をつくりながら離れていく形態。装着感がやや劣る。

船底型

ポンティック基底面が船底型あるいは楕円型で、その頂部が顎堤粘膜と線状あるいは点状に接触する形態。

リッジラップ型

顎堤頂よりやや唇頰側寄りの粘膜から顎堤頂にT字状に接触する。審美性と装着感がよく、基本的に上顎に用いる。離底型が粘膜から離れて発音に影響があることと比較すると発音障害は少ない。

ポンティック基底面の材料

種 類

陶材

グレーズされた陶材が表面性状および生体親和性の点で最も望ましい。

金属

よく研磨された金属ならば陶材の次に望ましい。

レジン

吸水性があるためプラークの停滞を招きやすい。そのため、固定性もしくは半固定性ブリッジでは使用できない。ただし、可撤性ブリッジには使用可能である。

適 応

半自浄型ポンティック

陶材、または金属のいずれも使用できる。

完全自浄型ポンティック

原則としては金属:完全自浄型は半自浄型に比べるとポンティックの厚さが薄いため、ブリッジ全体の強度確保のために金属を使用する。

オベイト型ポンティック

陶材:粘膜に接触するポンティックであり自浄性・清掃性と共に悪いため、陶材を用いる。



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