
出題されるか、されないかは微妙な分野。
もし、出題されたら勘で解く。
本当はしっかり計算して解きたいけど、補足疲労の考え方が出てくると忘れてしまう。
実際の現場では、自分で計算するまでには至りませんが、国家試験では出題されてしまうというのがツライところです。
今回は、特効薬はイマイチ見つからないと思いますが、イメージ図や練習問題を使って、Duchangeの計算をクリアにしたいと思います。
目次
Duchangeの指数とは


Duchangeの指数とは、歯の歯根表面積を指数化したものです。
支台歯は歯根膜によって咬合の力を負担します。
歯根膜の面積が大きいいほど負担する能力が高いと考えられ、支台歯を選ぶときの基準となります。
支台歯数選択の計算

先ほどのDuchangeの指数を使って、ブリッジができるかどうかを以下の計算式や基準で求めることができます。
①:ブリッジの抵抗力(r)=R ー(F+F・S)≧0
②:片側支台歯の指数(R)ー1/3 × 欠損歯指数の総和(F)≧0
R=支台歯の抵抗(resistance)
F=ポンティックの疲労(fatigue)
F・S=補足疲労(fatigue supplement)
ブリッジの抵抗力(r)=R ー(F+F・S)≧0


まず、①の式の意味は、ポンティックにかかる力を支台歯が支えられなかったらブリッジはできませんということです。
イメージ図を使ってあらわすと、二つの支台歯たちがポンティック疲労という荷物を持てるかどうかを判断するということです。
どんな条件であっても、ポンティックにかかる力を支台歯たちが支えられなかったらアウトとということです。
片側支台歯の指数(R)ー1/3 × ポンティック疲労(F)≧0


次の②の式は、片方の支台歯がポンティックにかかる力の1/3に耐えられるかどうかということです。
支台歯たちには個性があります。身長が高いやつもいれば、低いやつも。
それが歯根膜の表面積ってやつです。
たとえ、①の式が満たされても、片方の支台歯がそれなりにしっかりしていないとダメということです。
※ちなみに、遊離端ブリッジ(延長ブリッジ)については適用しません。
補足疲労(F・S)


前歯部で2歯以上のポンティックの場合はテコの作用が働き、支台歯の負担が増すことになります。
そのような場合は補足疲労(F・S)として支台歯から1歯目に+1、2歯目に対しては+2の疲労(F)を加えます。
図のように、アーチ状になっている部分に重りを置いて持つことを想像すると、同じ重さでも感じる重みが違うことが想像できるとおもいます。
※遊離端欠損の場合:一方に支台歯がないため、ポンティックに加わる咬合力はテコの作用で支台歯に負担が加わります。やむなく遊離端(延長)ブリッジを作製する場合は、補足疲労(F・S)はポンティックとなる歯の指数の1/2を加えます。
例題
次にいくつかの設計例を挙げて、判定を見ていきます。
○ 数字:支台歯
例題1)
③2①」
【①の判定式】
Duchangeの指数
1」:2
3」:5
2」:1
したがって、
r=2+5ー1=6≧0
【②の判定式】
1」:2>F/3=1/3
3」:5>F/3=1/3
となり、①と②の式は基準を満たします。つまりブリッジができるということです。
例2)
③②1⊥12③
【①の判定式】
R:5+1+5=11
F:2+2+1=5
前歯部を含む2歯以上のポンティックなので、補足疲労を加えます。アーチ状の形になるので、ちょっとした重さの負担を加えます。
欠損部の隣にある1番目の歯、2」と∟3に+1、3」に+2を加えます。
よって補足疲労は1+2+1=4
したがって、r=11-(5+4)=2≧0
【②の判定式】
R(32」):6>(F+F・S)/3=(5+4)/3
R(∟3)=5>(F+F・S)/3=(5+4)/3
となり、①、②を満たすため、ブリッジが可能であると判断します。
過去問
98C13
支台歯が負担過重となりやすいブリッジの設計はどれか。
a ③2①┐
b ④3②┐
c ⑥⑤4┘
d ⑥5④┘
e ⑦6⑤┐
解答・解説:B
古い問題ですが、感覚ではなくしっかり解くことを考えると、上記で説明したような判定式で計算します。
負担になりやすい設計ということなので、判定式の計算を満たさないものを選びます。
選択肢Bが解答なので、割愛しながらの解説です。
【①の判定式】
r=(4+1)ー(5)=0≧0 O.K
【②の判定式】
④┐=4>5/3 ②┐=1<5/3
というわけで②の判定式を満たさないので、選択肢Bは荷重負担になります。
109C130
上顎右側第一大臼歯欠損で、第二小臼歯と第二大臼歯を支台歯とするブリッジを製作することとした。ブリッジ設計の参考となる歯種別の指数を表に示す。

ブリッジ抵抗力(r)を求めよ。
まとめ
というわけで、Duchangeの指数に関するお話でした。
ずっと、下火ではあったのですが、109回に出題されてしまったので一応。
ただ、109回の時は厚生労働省の解答はなしと発表されています。
進級試験対策として理解しておくのがいいかと思います。
他にも法則がちらほらあるので随時更新していきます。
補足疲労の例ですが、支台歯にプラスしてしまっています。支台歯からの1番目、2番目のポンティック部に加算されるとおもいます。