【歯科医師国家試験に不合格】大学?予備校?その他の進路を4つにまとめて紹介



2020年3月16日、新型コロナウイルスの影響がさめやらぬななかで、第113回歯科医師国家試験の合格発表が行われました。

今年の合格率は全体で65.6%新卒者で79.3%既卒者は43.1%。昨年度との比較で、全体の合格率は1.9%上がり、新卒者の合格率は0.1%下がり、既卒の合格率は4.8%上昇しています。

とはいえ、国試が望ましい結果にならなかった人には合格率の数字より次のことを考えなければなりません。

国試が厳しかった場合に進むべき進路は大まかに分けて4つ。

① 大学に戻る(聴講生と呼んでもいいかもしれません)

② 予備校に入る

③ 個別指導を受ける

④ 自宅浪人をする

そして、個人的なおすすめな順としては、

大学>>予備校=個別>宅浪です。

今回は、それら4つの進路について、元大手予備校に勤めていた視点を交えながらメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

※補足ですが、この手の話をするとき、個人の問題や状況を拾い上げて、テーマを展開するのには限界がありますので、ご理解のほどお願いします。また、大学名をあげるのは個人的に好きではないので、大学名は2020年の合格率等を使用して便宜的に言い換えています。

大学に戻る

基本的に私がおすすめしているのは、もう一度大学に戻って聴講生として過ごすことです。

その理由は、シンプルに数字だけみて合格率が高いからです。

毎年、既卒生が約40%に比べて、新卒の合格率は80%前後。大学で勉強している人が圧倒的に合格しています。

(もちろん、既卒と新卒で母数が異なるので、母数が少ない既卒は、一人でも落ちれば合格率は、新卒に比べて変化しやすいです。)

ここで当たり前のように思うのが、

「新卒の合格率が高いのはたくさん留年、もしくは※卒留を出して、国試の受験者数を絞っている(特に私立)からだ」

ということです。

※卒留=卒業留年:大学に卒業は認められているが、その年の国家試験が受けられない学生。一部の大学では行われているので、ご存知ない方のために補足させていただきます。

もちろん、その通りだと思います。

たとえば、あるXX大学は、出願者数:144名、受験者数:73名、受験しなかった数:71、そして合格率は95%です。これは確かに国試を受験させる際に、学生を絞っているなぁ、という印象を持ちます。

しかし、別の見方をすれば、大学のなかで過半数以上に残れば合格率95%ってすごいことではないでしょうか?

感情論としては「絞りすぎ」に共感はします。それでも、別の側面からみれば大学で淡々と勉強すれば十分に国家試験合格を望めるということです。

もちろん、先ほどあげたXX大学の厳密な卒業基準はわかりません。

しかし、基本的に大学の卒業基準は、国試のように相対評価ではなく、ある一定以上の基準を求める絶対評価ではないでしょうか。

学内の試験で学生全員の点数が高い、でも、ケツから20番以内は即留年といった相対評価的な基準で、留年させることはあるのでしょうか。

最終的な卒業判定を調整することがあったとしても、それは年間を通しての成績をみてだと思います。

大学は端的に卒業の基準を示している。

勝手に個人がその基準に満たないのは、大学のせいでしょうか…。

平均で新卒者は79.3%既卒者は43.1%。簡単な足し算、引き算でバカにできる数字ではないと思います。

「たくさん苦労したし、時間をかけて勉強した」
「そもそも、なんでこんな目に合わなければならないんだ」

そういったやるせない気持ちやフラストレーションはわかります。しかし、ご自身の持ち合わせているその「勉強している、苦労した」の基準は的を得ているでしょうか。

例えば、「本を読んでいる」といっても、月に2〜3冊読んでいる人と月に100冊読んでいる人とは、「読んでいる」という基準が違うわけです。

日本には、主要企業の就職率はいいが、1学年から進級が厳しいという大学もあります。そこの大学生と6学年の7,8月ぐらいから慌てて勉強しましたという歯学生の「勉強した・苦労した」の基準は同じものを持ち合わせてるでしょうか。

「国試受験者を留年という都合で人数を絞って高い合格率をだしている、なんて汚いんだ」と感情的になって目の前にあるものをないがしろにするのはもったいないと思います。

単純に、大学が用意した制度やカリキュラムをこなしていけば、新卒の平均合格率は79.3%になる。私立でも、76.7%。私はこの合格率はそれなりに十分だなと感じます。

そして、一番の本質は

大学は二次医療圏であり一番の王道です。学術書もたくさん参照できますし、専門家も多く在籍しています。予備校の商品等が国試の王道ではありません。

他にも、具体的に、引っ越しの手間や生活の変化におけるストレスがあまりないということも助かります

以上が、国試後の4つの進路のなかで、私が大学での聴講生をおすすめしている理由です。

しかし、メリットがあればデメリットもあります。

そして、最大のデメリットは、

単純に聴講生の制度がなければ、大学に戻ることは叶わないということです。

その場合は、必然的に予備校や自宅浪人で勉強することを考慮しなければなりません。

また、極度の大学嫌いな方もいらっしゃいます。その場の空気も吸いたくないなど。その場合も大学から出ないといけないかもしれません…。

そのわりには、結局、研修はがっつり母校なんだよなぁ…。(笑)

もう一度メリット・デメリットをまとめると

まとめ

・大学は王道であり、なんだかんで合格率が高い。

・環境の変化によるストレスがない。

・聴講生制度がなければ戻れない。

ちなみに、大学嫌いの人に一つアドバイスです。

理想的でユートピアな大学はないです。

いろいろな大学生と接していると、どこにいっても大変だなと思います。

大学によっては、成績が悪い学生は春の時点から留年決定させるところもあるし、口腔外科の問題が専門医レベルを求められているところもあります。
いきなりグループ学習制度を言われて学生は混乱、広く使われている教科書よりニッチな教科書を使っていたり、卒業することが厳しくて大学自体が予備校みたいになっている。
卒業留年というわけのわからない制度はあるし、国試合格率は悪いのに校舎はきれいになっていく。登院実習が6年の秋まで続くect…。

もう、あげたらきりがありません。

どの環境にいても同じです。だからこそ、与えられている現実をどう捉えるかが重要かもしれません。

※参考
下の表は厚労省から発表された第113回歯科医師国家試験の学校別合格者状況のなかで私立大学の部分を抽出したものです。表の留年数は便宜的に自分がラベリングしています。もしかしたら、体調不慮により受験されなかったかもしれません。表につけている色付けは各々が感じていただければと思います。

▼厚労省から発表されているのはこちら▼
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000606931.pdf

予備校に入る

2つ目は予備校です。

個人的にオススメはしてません。いやニュートラルな感情かも?

大学の聴講生制度がなかった場合や大学が極端に嫌いな場合に選択されるといいかと思います。

その理由は大学に比べて、合格率が低いと思われるからです。

予備校が対象としているのが既卒生とした場合、既卒生の合格率は43.1%です。112回に関しては36.9%。過半数にも届いていません(私立)。

もちろん既卒生全員が予備校にいっているわけではないですが、既卒生の数が約1200人、大手予備校の収容人数が分校も合わせて200〜400人で2(〜3)社ほどあります。その他、小さい個人塾もいくつか。

それらを合計すると、少なく見積もっても、予備校側が抱える人数は既卒生の1200人のうち半分は超えるのではないでしょうか。

しかし、既卒全体の合格率は43.1%です。

この予備校側の既卒合格全体への貢献度はどう考えたら良いのでしょうか。

もちろん、「成績が好ましくない人が落ちているから、既卒生の合格率はそれぐらいの低さになるのでは?」という意見があります。

しかし、既卒生を抱えている予備校側は合格させることをサービスにしてます

さらに一年間、国家試験のことだけをやり尽くした結果、全体への貢献は43.1%という結果です。

大学における教育は、臨床・研究・教育の中でのその一つです。そして、現役生は卒業試験があります。卒業試験と国家試験がまるで別物のような発想にはいささか問題がありますが、これは歯学部生ならある程度は共感できるでしょう。

以上のことを踏まえて、

「大学」と「予備校側」の2つを比較したときの、新卒者79.3%既卒者43.1%という結果。

みなさんはどう感じるでしょうか。

大学の合格率が留年によって変わってくるように、予備校側の合格率も調整されている可能性は十分に考えられます。

たとえば、予備校に入校されてもほとんど出席していないから、合格率を算出する際に、母数としてカウントしないなど。

もちろん、一度も来ていない人を総数としていれるのはいささか疑問がありますし、気持ちはわかります。しかし、調整OKならば、なんでもありになります。

たとえば、「予備校の合格率を75%ぐらいにしたいので、出席率が80%以上じゃないと母数としてカウントしない」と調整することもできます。

今の例をあげるなら、出席80%以上じゃないとカウントされないという、根拠、論拠はいったい何なのかということになります。しかし、大学のような公の機関ではないので、真実は闇です。

また、予備校に入校していないが、別のカタチでサービスを受けて合格した場合もカウントしているかもしれません。いや、してないかもしれません。

合格発表されて3月の時期はタイミングが良いのでちょっと補足です。

説明会では、自社の合格率とは別に、大学別に合格率をあげるところもあると思います。しかし、その中身は国公立や毎年合格率が高い出身大学の方々の合格率を述べているだけではないでしょうか。

国試で毎年合格率が50〜60%ぐらいの出身大学の学生が、自分の予備校でどれくらい合格したかという内容は述べられていますでしょうか?

もともとの合格率の高い大学の学生を受からせることが、予備校の実力としていえることなのでしょうか。

予備校が合格率をあげるために一番注力することは、カリキュラムの充実ではありません。国公立の学生、合格率の高い私立大学の人数をいかに確保することです。もともと、合格する可能性が高い学生を集めれば、自然と合格率はあがるのです。

そして、次は私立大学の学生の確保です。そもそも国公立や高い合格率の私立大学の留年生は人数がいません。というわけで、会社経営のために人数確保を考えていきます。

もちろん、これらのことは真実かもしれないし、真実ではないかもしれません。

今の説明会がどういうことになっているかは知りませんので。ただ、実際の合格率とご自身で体験されたことからある程度は考察できるのではないかと思います。

私のみてきた経験の範囲で、少し予備校側を養護すると、毎年の合格率が低いであろう出身大学の学生は4月から始まって次の年の2月までの10か月で受からせることはとてもとても厳しいです。(これはデータをとっていないので個人の所感です。)

毎年の合格率が低いであろう出身大学の学生の傾向としては、1年目で勉強することになれ、2年目で合格に届く力が付くがどっかの領域が1,2点足らず。3年目は成績は横ばいといった具合です。

そういう観点からも、特に、成績が極端に好ましくない学生の方は予備校はおすすめしません。

少しデメリットの部分の記載が目立ってしまったので、メリットの部分も。

メリットとしては、

・環境が変わり刺激になる。

・大学の嫌いの人にとっては先生というものに臆さなくていいといったところです。しっかり相談できるというところがいいです。(←これ大事です。)

講義や集団講義の質は?と思うかもしれませんが、個人的にはさほど差がないかと思います。

講義資料はレイアウトが整っているだけです。カラーの資料ということを考えてみれば、大学の資料もいまではカラーで見やすいです。予備校でも「自身の大学の資料」を持って勉強している学生は散見されました。

講義の質問題も、一部の先生がうまいかもしれませんが、結局は好き嫌いで別れます。

というのも、集団講義は一度に大勢の人数に情報を伝えることが本質です。質ではなく量に意味があります。質をいうと結局、好き嫌いになるからです。

大学6年間は集団講義に関するコホート研究みいたいなものです。みんなが同じ講義資料、講義を聞いて成績に差があるなら、原因は講義等でない可能性が高いということです。

というか、講義や講義資料がいいのではあれば、既卒生合格にもう少し寄与しているのでは?とも思います。

もう一度メリット・デメリットをまとめると

まとめ

・なんだかんだで、既卒生全体の合格率の寄与は少ない。

・講師に相談できる。

・環境の変化が刺激になる。

最後に、大学とは異なるオルタナティブなカタチで教育する側は、アカデミックな知識をリパッケージすることだけが価値でしょうか。

価値を変換して新しい価値を生みました、価値と価値をくっつけて新しい価値です。保険商品や金融商品ではないのだから。

合格率が低い出身大学の学生でも、なんとか10か月で合格させてこそ、本当の実力であり、社会的に求められている価値ではないでしょうか。

あ、現場の先生はみんないい人たちですよ〜。

個別指導を受ける

ここからはあっさりです。

3つ目は個別指導を受けるです。これのオススメ度は予備校と同じくらいです。

個別指導の利用の仕方を例えるならば、調味料みたいなもので、メインディッシュではないということです。

大学や予備校のカリキュラムをメインにして、わからない部分や苦手な部分を補うというのが一番の理想かなと思います。「理想は」ですが。

集団講義はマスに向けていかに効率的に物事を教えるかが一番の本質です。しかし、あくまでそれは制度設計する側の考えであり、個人の学生の問題点や課題が解決さることを保障しているわけではないです。

その点、個別指導は最終的に個々の問題点を解決することには長けていると思います。

しかし、デメリットは費用が高いということです。

集団講義では一人の講師の費用を何十人単位で割りますが、個別指導は一人の歯科医師の時間を拘束するのでそれなりに金額はします。

他にも、人間的な相性もあります

たとえば、柔和な先生がいい人もいれば、ちょっと硬派な人もいいと、個々のことにフォーカスすればするほど、好みの問題がでてきます。とはいえ、友達になるわけではないので、そこまで神経質にならなくてもいいかと思います。

あと、個別指導って結構、講師の熟練度が必要なので、できる人の数が少ないです。集団講義がうまいことと、個別指導のうまさは別なので。

研修終えて、1年目の歯科医師が個別指導できるかというと、そんな甘くないです。

臨床だけではなく、基礎科目、衛生学など全範囲を網羅してないといけないので。さらに、個別を受ける学生が少ないので、経験を踏める機会も少ないです。

また、できないわけではないですが、年間を通してつきっきりの個別指導は費用の面で、あまりオススメしません。

しかし、自分で記事を書いていて、パラドックスだなと思うのが、成績が好ましくない人(模試で概ね380点以下、大学の再試科目数が極端に多いなど)ほど、つきっきりで個別指導を行わないと厳しいとも思います…。

まとめ

・費用が高い。

・局所的に利用するなら効果あり。

・個別ができる講師が少ない。

・人間的相性の制限がある。

自宅浪人

最後は自宅浪人です。

大学・予備校がメリット・デメリットがはっきりしていて、個別指導が調味料的な存在。それらに比べて、自宅浪人の場合は条件ありきで、といったところだと思います。

その条件は、体調的な面や経済的な理由、家族の関係などなどです。

これは、当事者の学生の方ならわかるのではないでしょうか。

実は学生の中には、精神疾患をお持ちの方やホルモンバランスや消化器系が不調な方など体調面が優れない方、集団にいるのが極度に苦手な方がいらっしゃいます。

そういった方は、ご自身のペースで勉強されたほうがいいかと思います。

なにより、体調が優れない場合は、一年間休むことを視野に入れてもいいかもしれません。長い人生です。どうかお体をご自愛ください。

他にも家族関係に関する問題もあります。

古風な家柄もあり、自宅で勉強をしなければならないといったことや、親の介護をやりながらなど、事情はさまざまです。

自宅浪人であっても、決して大学や予備校にはひけはとりません。

なので、冒頭で自宅浪人をあまりおすすめしないという位置づけにはしましたが、個人的には一番応援したいと思っています。

まとめ

最後にまとめると、

王道としての大学を考えつつ、自分の状況に合わせて予備校や自宅浪人を選択して、必要とあれば、個別指導をちょこっと取り入れるといったとこではないでしょうか。

これはざっくりとした所感ですが、

公開模試が常に400点以上で、今回の国試が領域で1点落ちしたぐらいという方は、おそらく環境は関係なくどこへ行ってもお一人の力でこなせると思います。(細々と伝えたいことはありますが…。)

公開模試で380点ぐらいをふんわりいる方は、大学にせよ、予備校にせよ個別指導的な局所的なテコ入れをおすすめします。個別指導でなくてもお友達やグループでカバーし合う関係でもいいです。とにかくペースメーーを外部と共有し合うのがいいかと思います。

留年経験、再試数多科、卒業ギリギリ、そもそも歯医者になる気が微妙にない方は、1年で取り返すことが厳しいかもしれませんので、「死ぬ気でやる系」をおすすめします。

いろいろメリット・デメリットを述べてきましたが、私が個人的に述べたい本質は別にあります。

それは…。

最終的には個人の問題や資質が一番大きいと思います。それは知的能力ではなく、「マインド」です。

どうしても、歯科医師になりたいという気持ちは大事ですが、それより重要だと思うのがどんな環境下であっても「オープンなマインド」であることです。

教わろうとしない人の前には「先生」は現れません。逆にどんなものでも教わろうとする人の前に「先生」は現れます。

変な言い方かもしれませんが、ホームレスの方から何か学ぼうと思えば、ホームレスの方が「先生」になるのです。

卑屈で意固地で、自分のやり方は変えない。主体的に動くのではなく、引き受けるだけで文句をたれる。そういった方は正直言ってどこの大学に行こうが、どこの予備校に行こうが茨の道を進むのではないでしょうか。

たとえ、国試に受かっても、その先、就職した職場で、給料が安いやシフトを組むのが下手など「闇」に囚われてしまう。

若いときはいいかもしれません。また、飲み会の席で話のネタとしてはいいかもしれません。

しかし、そのマインドは一体何歳まで持ち続けるのか

50,60歳になってまでもそんなこと言い続けるのでしょうか。それぐらいの年齢になっても環境に文句行っている人を想像してみて欲しいと思います。

もちろん、個人の人生なので、どのような感情で生きるかは個人で選択されたらいいと思います。

「慢性的」な苦しみは、積み重ねの結果です。自分がYoutubeをみていた時に、勉強している人はいる。すべては選択の問題。現在の積み重ねの先に未来があるように思えます。

6年間学ばれた医療系の意地として、世間一般様のように集団心理に流されるのではなく、整えられたマインドの上に、理性的な思考で判断してくだされば幸かと思います。



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ABOUTこの記事をかいた人

上原 秀一

株式会社S.A.V.N代表取締役/Dental Youth 講師/歯科医師/歯科医師国家試験講師としてだけではなく小中高生に対しての指導も行う。哲学的な思考をベースに物事を新しい切り口で捉え直す。