【歯科医師法】細かな内容よりも規定されているのはなにか。国試からポイントを読み取る!(更新日2020/6/9))



歯科医師法

医療行為というのは一般人には禁止されています。単純に危ないので。

歯科医師法というのは歯科医師という人がどこまでの業務を行い、責任があるのかというのを定める身分法です。

国試的に攻略のポイントは歯科医師法にどういった規定があるのかを暗記するだけです。

なので、下にあるまとめの部分をサクッとおさえるだけでいいと思います。

第1条:総則(歯科医師とは)

歯科医師とはどういった人でどういったことを行うのかということを綴った条文です。

とはいえ、さすがに第1条なので国試にはちょろっと出題されています。

見て損はないと思いますので、法律文はそのまま引用します。

第1条
歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

100A12
歯科医師法の一文を示す。(   )に入るのはどれか。
歯科医師は、歯科医療及び(   )を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。
a 地域医療
b 保健指導
c 健康教育
d 歯科医業
e 福祉医療

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102A16
下記の文は歯科医師法第1条である。(   )に入るのはどれか。1つ選べ。
「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、(   ) の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」
a 地域保健
b 歯科保健
c 口腔衛生
d 公衆衛生
e 社会福祉

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第2条:絶対的欠格事由〈絶対に免許は与えない〉

どんなことがあっても絶対に歯科医師免許を与えない方々です。

絶対的欠格事由

①未成年

②成年被後見人

③被保佐人

※現在、成年被後見人・被保佐人の欠格条項は削除

未成年が絶対に歯科医師になれないのはいいかと思います。

ここでは、知識の幅を広げる意味で、後見人・保佐人について少しだけ確認したいと思います。

まず、「後見」とは、本人が精神的な障害により判断能力を欠くため法的な行為に対して代理を立てるということです。

役所の手続きをしたくても意識が定かでないと、本人に代わって代理を立てざるえないです。

そして、その後見をうける成人を「成年被後見人」といいます。

つまり、成人だけど精神的に判断能力を欠くという方ですね。

次に、保佐という意味です。

保佐は端的にいうと後見より軽い症状である場合に使う言葉です。

なので、被保佐人というのは少しだけサポートを受ける人ってところでしょうか。

ちなみに、さらに症状が軽い場合を補助といい、後見・保佐・補助の3つ合わせて「成年後見制度」とも呼びます。

成年後見制度まわりの言い回しや定義等は変更に合わせて記事を変えていくかもしれませんので、ご了承ください。

103A19
歯科医師免許の絶対的欠格事由はどれか。1つ選べ。
a 麻薬中毒者
b 成年被後見人
c 心身に障害がある者
d 医事に関して不正のあった者
e 罰金以上の刑に処せられた者

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歯科医師法の改正

令和元年歯科医師法ならびに医師法などの士業や公務員などの法律の一部が変わりました。変更された内容は欠格条項について内容です。

「成年後見制度の利用の促進に関する法律」に基づく措置として、成年被後見人及び被保佐人(成年被後見人等)の人権が尊重され、成年被後見人等に係る欠格条項の制限に対して適正化を図るための措置が施されました。

改正後は成年被後見人、被保佐人であるか否かを区別せず、心身の障害により業務を行うことできない者として個別に審査し、免許の付与の可否を判断することとなりました。

第3条:相対的欠格事由〈もしかしたら免許を与えることもある〉

場合によっては免許を与えない方々についての条文です。

相対的欠格事由

①心身の障害

②麻薬・大麻又はあへんの中毒者

③罰金以上の刑

④医事に関する犯罪・不正行為

ちなみに罰金とは刑罰などの一種です。民法とは少し異なります。

車で重大なスピード違反には罰金が発生し前科がつきます。

つまり、前科がある方は歯科医師になる前にちょっと待ってということです。

第7条:免許の取消・停止

絶対的・相対的欠陥事由に該当したり、品位のない行為があった場合は厚生労働大臣により処分されます。

処分内容

①戒告

②3年以内の歯科医業の停止

③免許の取消

そして、処分を行うにあたっては医道審議会に意見を聞くことになります。

また、処分を受けた人は厚生労働大臣により再教育研修を受けることで歯科医師として復活できます。

ちなみに戒告とは通知による軽い注意のようなものです。

有名な例をあげるとフジテレビのアナウンサーが不倫騒動で戒告処分を受けてます。

戒告というのは懲戒処分の一つで、他にも減給や懲戒解雇などがあり、企業や行政の中で使われています。

補足
医道審議会は医師や歯科医師などの医療関係者や有識者などで構成されている議会です。

第17条:業務独占

免許がなければ歯科医業を行ってはいけませんよっという内容です。

具体的には齲蝕を取り除くや歯を削るという行為です。

ここで、ちょっと気にしたいところは歯科医師の免許を持っていない人が歯科医業を行った場合は、歯科医師法という身分法で罰せられるというところです。

ちなみに、医師の方にも医業という業務独占があります。

なので、口腔外科における行為は、まったく同じ内容だったとしても、歯科医師が行ったならば歯科医業、医師が行ったならば医業となります。

第18条:名称独占

歯科医師でない人が紛らわしい用語を用いてはダメですっといった内容です。

入れ歯師や歯科医士、オーラルアドバイザーとか。

名称独占が日常的にあまり馴染みがないのでピンときませんが、勝手に素人が変な名前を使って商売っぽいことをするなってところでしょうか。

医療系の職種ならほぼすべてにあるといっても過言ではないです。

第19条:応召の義務・診断書の交付義務

正当な理由がない限り診療や診断書を見せることを断ってはいけないという内容です。

急患に対して今日は疲れたので診療しませんはダメです。

第20条:無診察治療の禁止

自ら診察しないで、治療や診断書、処方箋を交付しないでくださいという内容です。

忙しい開業医さんなんか衛生士さんが勝手にスケーリングをしていることもありますが、それはダメということです。

必ず、歯科医師の診察をはさんでくださいということですね。

ちなみ、ヨーロッパ圏では衛生士さんは独立して予防処置をしているようです。

第21条:処方箋の交付

投薬の必要を認めた場合は、処方箋を交付しなければならないという義務です。

補足として処方箋の記載内容も載せておきます。

処方箋の記載内容
科医師は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名年齢薬名分量容量発行の年月日使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は歯科医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。 

第22条:療養方法の指導

いわゆる保健指導のことをいいますが、これは公衆衛生の現場で行うようなことを指しているのではありません。

治療後に行う療養の方法ということです。たとえば、幼児や高齢者に治療を行ったので、はい、さよならはダメです。

その後、どういったブラッシングをするのか、抜歯後はどうしたらよいかを伝えなければなりません。

第23条:診療録(カルテ)の記載・保存義務

診療をした時はすぐにカルテに記載しましょうということ、それと、カルテは5年間保存しましょうということです。

ちなみに保存責任者は勤務医の場合は病院や診療所の管理者。それ以外は診察した歯科医師が責任者です。

上記の合わせて、規定されているのはどれかや義務に関する問題です。

96A92
歯科医師法に規定されているのはどれか。
(1)死体検案書の交付
(2)出生証明書の交付
(3)無診察治療の禁止
(4)療養方法等の指導義務
(5)処方せんによる覚せい剤の投与
a (1)、(2)  b (1)、(5)  c (2)、(3)  d (3)、(4)  e (4)、(5)

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96A98
歯科医師法で5年間の保存が義務付けられているのはどれか。
a 模 型
b 病態写真
c エックス線写真
d 技工指示書
e 診療録

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96A103
歯科医師法に規定されている歯科医師の義務はどれか。
(1)診療所開設の届出
(2)従業員の管理
(3)処方せんの交付
(4)保健指導の実施
(5)学校健診の実施
a (1)、(2)  b (1)、(5)  c (2)、(3)  d (3)、(4)  e (4)、(5)

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106C89
応招義務があるのはどれか。すべて選べ。
a 医 師
b 歯科医師
c 看護師
d 歯科衛生士
e 診療放射線技師

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107C71
歯科医師法に規定されているのはどれか。2つ選べ。
a 療養方法等の指導
b 臨床研修修了者の登録
c 虚偽診断書作成の禁止
d 入院診療計画書の交付
e 歯科医療に関する広告の制限

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まとめ

法律系の勉強に関しては、国家試験と進級・卒業試験はレベルを変えた方がいいかもしれません。

国家試験レベルですと、独占業務の範囲はどういったものなのかとか再教育に関して難しい内容は出ません。

端的に歯科医師法に規定されているのはどれかといった内容です。

しかし、もしこの記事を読まれている方が卒業・進級試験なら大学のプリントをしっかりこなしてください。

どのレベルまで問われるのかは大学によってまったく異なるということです。

それでも当面、学習する際の指標としてはまとめみたいなものでいいかと思います。

実はさほど内容もそこまで多くないと思います。

歯科医師法のまとめ

①総則(歯科医師とは)
②絶対的欠格事由(絶対に免許は与えない)
③相対的欠格事由(もしかしたら免許を与えることもある)
④免許の取消・停止
⑤業務独占
⑥名称独占
⑦応召の義務
⑧診断書の交付義務
⑨無診察治療の禁止
⑩処方箋の交付
⑪療養方法の指導
⑫診療録(カルテ)の記載・保存義務



3 件のコメント

  • 歯科医師の絶対的欠格事由(法3条)が改正されていますよ。ご注意あれ!

    • 追記:記事に改正分を変更させていただきました。大変たすかりました。本当にありがとうございます!

    • コメントありがとうございます!

      一度、確認して反映させていただきます!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    株式会社S.A.V.N代表取締役/Dental Youth 講師/歯科医師/歯科医師国家試験講師としてだけではなく小中高生に対しての指導も行う。哲学的な思考をベースに物事を新しい切り口で捉え直す。