放射線防護(2020年3月6日更新)【歯科放射線学】



放射線が医療分野で利用されるとともに放射線障害も多く発生。

そのため、放射線の過剰被曝からの防護のために、国際組織が1928年に設立された。組織はその後「国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection : ICRP)」として発展。ICRPは放射線防護の基本原則や具体的方策、および防護体系の基本となる数値基準などを検討、公表している。

ICRPによれば、放射線防護の目標は人類の安全確保および環境保全であり、次の3項目を実践することである。

目標

①便益をもたらす放射線被曝を伴う行為を不当に制限することなく、人の安全を確保すること。

②確定的影響の発生を防止すること

③確率的影響の発生を減少させること

そして、それらの目標を達成するための体系として、3つに分類される。

体系

① 行為の正当化

② 防護の最適化

③ 個人の線量限度

行為の正当化

いかなる行為も、プラスの利益を生むのでなければ採用してはならない。つまり、必要とされるエックス線検査のみを行うということ。

防護の最適化

すべての被曝は経済的および社会的な要因を考慮に入れながら、合理的に達成できるかぎり低く保たなければならない。「ALARA 原則(As Low As Reasonably Achievable 合理的に達成できるかぎり低く)」

技術的低減による最適化

・各種の画像形成法のなかから最も目的にかなった方法を選択

・線 質→硬くする
(管電圧→高くする)
(ろ過→フィルターは適切な厚みが必要)
(総ろ過→大きくする)

・焦点・被写体間距離→長くする
(ロングコーンの使用により被曝容積の減少)

・照射野→小さくする
(ロングコーン、コリメータ(絞り)の使用により被曝容積の減少)

・防護衣を着用→散乱線による遠隔臓器被曝防止

フィルムや現像処理による最適化

①高感度フィルム(被曝時間、被曝量の減少)

②増感紙:パノラマ撮影において増感紙とフィルムの組合せを適切にする

③適切な現像処理により再撮影を避ける

④エックス線装置およびエックス線フィルムの品質管理

⑤デジタルエックス線撮影装置の使用

線量限度

被曝線量に上限を設け、職業被曝、公衆被曝に対して設定する。しかし、医療被曝に対しては、正当化と最適化がなされていれば線量限度は設けない。これは必要な検査や治療が行えなくなるのを防ぐためである。

職業被曝

被曝する職業に就いている者の被曝。医療従事者の被曝はこれに含まれる。

放射線診療従事者(歯科医師や歯科衛生士など)の実効線量限度 

5年平均で20mSv/年、1年間の上限は50 mSV(女子は3か月で5 mSV)。

放射線診療従事者の等価線量限度

・眼の水晶体150 mSv/1年、皮膚500 mSv/1年、妊娠中の女子の腹部2mSv(出産まで)。

その他

・口内法撮影用エックス線装置:0.25mGy/時間
(エックス線管焦点から1 m の距離)

・パノラマ撮影用エックス線装置:1mGy/時間
(エックス線管焦点から1mの距離)

・エックス線診療室:1mSv/週

・管理区域:1.3 mSv/3か月

・病院又は診療所の敷地の境界:250μSv/3か月

医療被曝

患者の被曝のこと。研究のための被験者(ボランティア)の被曝や患者の介助者・介護者の被曝も含まれる。

公衆被曝

職業被曝、医療被曝以外の被曝。

実行線量

・1mSv/年



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