Ni-Tiロータリーファイル(2020年1月12日更新)【歯内療法学】



Ni-Tiロータリーファイル

Ni-Tiロータリーファイル

超弾性や形状記憶効果を有しているニッケルチタン合金(ニッケル約55%、チタン約45%)。ステンレススチールと比較して弾性が高い。さらに、応力の解放によりもとの形に復帰する性質を示す。

そのため、ニッケルチタン合金を素材とする根管切削器具は、ステンレススチール製器具と比較して永久変形が生じにくく、彎曲根管への追従性にも優れている。このような性質から、彎曲根管への根管形成が期待できる器具として普及しつつある。

しかし、一方で、切削効率はステンレススチール製より低い。このため、エンジンを使用した切削効率の向上がはかられている。

Ni-Tiロータリーファイルの形状

刃部や断面の形状は製品ごとに異なっている。 手用器具の国際標準規格とは異なる規格が採用されている。

Ni-Tiロータリーファイルではテーパーが増加しても柔軟性が保持される。このため国際標準規格より大きいテーパーが与えらている。

Ni-Tiロータリーファイルの操作法

細部は製造者の指示を確認する必要がある。

① 低速正回転で用いる。

②トルクリミット機能を有する回転切削装置を使用する。

トルクリミット機能

切削中に過度のトルクが加わった場合に回転がいったん停止し、逆回転が開始する機能。ねじる力によって生じる金属疲労による破折の予防に有効である。

③ 根尖方向に強圧を加えない。抵抗を感じたら引き抜く操作が推奨される。

④ 手用ファイル(15〜20号)による誘導路の形成後に使用する。

⑤ ファイルの使用回数を記録する。過度の繰り返し使用を避ける。

Ni-Tiロータリーファイル(クラウンダウン形成法)の術式

根管上部のフレアー形成を行い、中央部から根尖部に向かって段階的に形成を進める方法。破折のリスクが少ないことから Ni-Tiロータリーファイルに対する標準的な術式とされている。

クラウンダウン形成法

① 根管上部のフレアー形成:根管上部形成用Ni-Tiロータリーファイルを使用。ファイルが抵抗により進まなくなるまで行う。

② 根尖孔の穿通・作業長決定

③ Ni-Tiロータリーファイルの誘導路の形成:15〜20号の手用Kファイルを用いて形成。円滑に挿入可能となるまで行う。

④ クラウンダウン形成: Ni-Tiロータリーファイルを用いて、根管中央部から根尖部まで太いファイルから細いファイルを順次使用する。

⑤ 根尖部のフレアー形成:最初に根尖狭窄部まで到達したファイルより1〜2太いサイズで順次同一作業長まで形成する。

ステップバック法と比較

① 破折リスクが少ない。

② 根尖部の直線化のリスクが少ない。器具の動きが規制されづらいため。

③ 根管内容物の歯周組織への溢出や急性根尖性歯周炎発症のリスクが少ない。

④ 洗浄液が容易に根尖部に到達する。化学的清掃の効果が高まる。  



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