仮封材(2019年12月30日更新)【歯内療法学】



仮封材

仮封材

仮封は口腔内の唾液や食片が治療中の歯髄腔に侵入するのを防止する。ただし仮封材の過高や側方運動時の咬頭干渉がある場合、患歯の安静を妨げてしまう。したがって、歯根膜に炎症を生じさせないように、仮封後には咬合の確認を行う。

性 質

① 窩壁に密着し、漏洩しない。

② 咬合圧に耐えられる。

③ 物理的かつ化学的に安定である。

④ 操作性に優れ、着脱が容易。

⑤ 長期的な封鎖に優れ、刺激性が無い。

⑥ 歯髄鎮静や根管消毒の薬剤効果を妨げない。

⑦ 審美的に優れている。

材 料

封鎖性が良好で除去が容易なものが好ましい。

種類

・酸化亜鉛ユージノールセメント

・グラスアイオノマーセメント

・コンポジットレジン

・水硬性仮封材

・ストッピング

テンポラリーストッピング

・熱可塑性の仮封材。

・軟化したテンポラリーストッピングを窩洞に圧接填塞。

・着脱は容易であるが封鎖性に劣る。

・二重仮封の内側の仮封材として用いることが多い。

・除去の際は熱した練成充填器を当てると容易に除去が可能。

水硬性仮封剤

・水に触れることによって硬化するパテ状の仮封材。

・充填は容易だが、除去がやや困難。

・除去する際はエアタービンや電気エンジン、あるいは超音波スケーラを使用する。

・封鎖性はよいが機械的強度が弱く脆い。複雑な窩洞には向かない。

酸化亜鉛ユージノールセメント

・粉末(酸化亜鉛粉末)と液(ユージノール液)の適量を練和し、練成充填器で窩洞、開拡部に填塞する。

・窩壁に密着し封鎖性が優れる。

・除去の際は熱した練成充填器を軟化させ、探針で除去する。

注意

窩壁に成分が残存するとコンポジットレジシ修復やレジン系セメントの重合を阻害する。また、封鎖性にやや問題があるとの報告もある。

グラスアイオノマーセメント

・歯質とのCa2+を介したキレート結合により歯質接着性を有する。

・咬合力に耐える機械的強度をもつ。

・熱膨張係数も歯質と近いため辺縁封鎖性に優れているが除去は困難。誤って健全歯質を除去してしまう可能性がある。

軟質レジン系仮封材

・歯質接着性があるため封鎖性、さらに機械的強度にも優れている。

・仮封材としては歯質と色調が似ているため、仮封材除去時歯質と接着している健全な歯質まで削除してしまう可能性が高い。

方 法

単一仮封

・仮封材のうち1種類のみを使用するもの。

二重仮封

・2種類の仮封材を用いる方法。

・内層には根管消毒薬の薬効を妨げず着脱容易なテンポラリーストッピングを填塞。

・外層には密着性や封鎖性のよい硬めの仮封材(酸化亜鉛ユージノールセメント、水硬性仮封材など)を用いる。

・それぞれの仮封材を維持するため、窩壁の高さが十分必要である。

・より緊密な仮封が求められる場合に、異なる2種類の仮封材を使用する。

・仮封材にはストッピングを、仮封材2には水硬性仮封材や酸化亜
鉛ユージノールセメントなどを用いる。

Weiser仮封(穿通仮封)

・スムースブローチを根管内に挿入したまま仮封。仮封材が硬化後スムースブローチを引き抜くことで、仮封の一部を開放し排膿路を確保する。

・感染根管治療などで、内圧の解放や排膿路を確保したい場合に、仮封材の一部を探針で穿孔する。

サンダラック仮封

・サンダラックといった溶液を浸み込ませた綿球を髄室内に挿入。

・排膿路の確保と食片圧入の防止が可能。



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