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病態
エナメル器(エナメル芽細胞)やエナメル髄に類似した腫瘍細胞をもつ歯原性腫瘍。エナメル器または歯堤上皮の遺残の腫瘍性の増殖が原因として考えられる。ほとんどが顎骨中心性に生じ、まれに悪性化することがある(二次性のエナメル上皮癌)
症状
・顎骨は無痛性膨隆。
・顎骨が非薄化することによる羊皮紙様感。
・増大とともに歯の移動や傾斜、歯根吸収がみられる。
好発年齢・好発部位
・歯原性良性腫瘍の中で頻度が高い。
・単胞型では、10〜20代、多胞型は30〜40代に多い。
・上顎に比べて下顎が4倍多い。
・下顎大臼歯部~下顎枝に圧倒的に多い。
検査所見
病理組織所見
腫瘍実質の形態により濾胞型と叢状型などに分類される多くは濾胞型である。
① 濾胞型:胞巣中心部はエナメル髄に類似した星状細胞。胞巣内にしばしば実質嚢胞や扁平上皮化生がみられる。間質は線維性の結合組織が主体。
② 叢状型:実質は索状または網状に増殖している。間質は粘液腫様で、しばしば間質嚢胞がみられる。
③ 嚢胞型:嚢胞の裏装上皮様がみられる。
④ 棘細胞型:濾胞型と類似するが胞巣中心部には扁平上皮化生が生じ、角化している。扁平上皮化生の部分では、HーE染色で赤く染まる。
画像診断では含歯性嚢胞や角化嚢胞性歯原性腫瘍との鑑別が困難。そのため、病理組織所見が決め手。
画像所見
・境界明瞭な多胞性または単胞性のエックス線透過像
(多胞性では石けんの泡状や蜂巣状透過像と表現される。)
・腫瘍に隣接する歯ではナイフカット状の歯根吸収がみられる。
・腫瘍の増大すると、下顎管が下方に圧迫される。
・CTでは顎骨の膨隆や皮質骨の菲薄化。
・MRIでは、病変内部のT2での高信号がみられる。
試験穿刺
・内容液は帯黄色透明なものを吸引する。
治療
・単純な摘出のみでは再発しやすいことをふまえた手術が必要となる
・開窓・掻爬による縮小後摘出(反復療法):嚢胞型や若年者で病巣が大きい場合に行われる。
・顎骨切除術:病巣の大きさにより顎骨辺縁、区域、半側切除術を選択して行う。
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