国家試験的に困ることはないけど、モヤモヤが残る絶妙シリーズです。
今回は、少しマニアックな箇所かもしれません。
それは、『咬合平衡と平衡咬合の違い』についてです。疑問に思ったときにでも、さっと読んでもらえば幸いです。
※「常用歯科辞典 第4版(医歯薬出版株式会社)」を参考に記事を書いてます。
咬合平衡と平衡咬合の違い
さっそくですが、咬合平衡と平衡咬合の違いは、いったい何でしょうか?
それは、理想的な状態のことを述べているか、具体的な咬合のことを述べているかの違いです。
・咬合平衡が概念的なこと
・平衡咬合が具体的な咬合のこと
咬合が安定しているといいな〜が咬合平衡で、そんな状態を作るにはどういった咬合を作ろうかが平衡咬合です。
まあ、はじめはこれぐらいで、実際に少しづつ具体的なことをみていきたいと思います。
咬合平衡(咬合均衡)
咬合平衡とは、下顎が前後・左右に運動する時に、上下顎の咬合部が均等に接触している状態のことです。
全部床義歯の理想的な咬合形態と考えられています。
「義歯入れて動かした時に、安定していたいな〜」といった感じでしょうか。
動かした時に、咬合面が全部あっている状態だけ?と中には思う方もいるかもしれません。
ここで少しだけ、捕捉説明。
咬合平衡は義歯を入れて、下顎を動かした時に、咬合が全部あたっていることが条件です。しかし、平衡側があたってなくても義歯が安定している状態もあります。
それを特に、片側性咬合平衡と言ったりします。
そんなこと言ったら、咬合平衡って両側性咬合平衡と言い換えられるのでは?と思うかもしれませんが、イマイチそういった記載は見当たらないので記述は避けます。
まとめると、義歯が安定しているという状態には、下記のような考え方があります、
・咬合平衡
(ほぼほぼ両側性咬合平衡では?と思ったりします。)
・片側性咬合平衡
平衡咬合(均衡咬合)
それでは、次は平衡咬合です。
平衡咬合とは、中心咬合位または、偏心咬合位の時に、左右両側の上下咬合面が同時に接触する咬合関係のことです。
特に、両側の咬合面で義歯の安定が得られる咬合を両側性平衡咬合といい、義歯の安定が片側のみで咬合面によって得られるようにする咬合を片側性(一側性)平衡咬合といいます。
そして、両側性平衡咬合と片側性平衡咬合を得るための具体的な咬合様式は以下です。
①両側性平衡咬合:作業側、平衡側ともに咬合接触
・フルバランスドオクルージョン
・リンガライズドオクルージョン
・交叉咬合排列
・無咬頭歯による両側性平衡咬合
②片側性平衡咬合:作業側のみが咬合接触し平衡側が離開
・リンガライズドオクルージョン
・モノプレーンオクルージョン
リンガライズとかいう慣れた言葉が出てくると、ようやく安心できますね。
いままで出てきた言葉をまとめると下記な感じです。
平衡咬合
・両側性咬合平衡
・片側性咬合平衡
まとめ
自分も記事を書いてなんだかわからなくなってきますが、一回まとめます。
上位、下位という言葉は便宜的に使っています。
・上位:咬合平衡は概念
・下位:平衡咬合が具体的な咬合様式
つまり、咬合平衡という状態を得るために、平衡咬合という咬合を作ろう!ということになります。
こんな会話はありませんが、少しロールプレイングです。
「義歯が安定している状態の咬合平衡が欲しいな!」
a ⬇
「それじゃあ、どうしよっか?」
a ⬇
「う〜ん、よし、平衡咬合を作ろう!」
「平衡咬合には両側性と片側性があるけど、咬合平衡の考え方が、上下両側で咬合接触している状態って言っているから、両側性平衡咬合を作っていこう!」
a ⬇
「それじゃ、具体的な両側性平衡咬合ってどんな方法があるの?」
a ⬇
「両側性平衡咬合には、フルバランスドオクルージョン、リンガライズドオクルージョン、交叉咬合排列、無咬頭歯による両側性平衡咬合があるよ!」
「もし、患者さんの顎堤吸収が激しかったら、リンガライズか、交叉咬合を使うかな〜。」
a ⬇
「うん、これで、義歯が安定する咬合平衡という状態が得られるね!」
まあ、こんな感じのロールプレイングでは無いでしょか。
片則性のロールプレイングもしてみます。
「平衡側の咬合が接触してなくても、安定する片側性咬合平衡という状態が欲しいな!」
a ⬇
「それじゃあ、どうしよっか?」
a ⬇
「う〜ん、よし、平衡咬合を作ろう!」
「平衡咬合には両側性と片側性があるけど、片側性咬合平衡の考え方が、平衡側の咬合が接触してなくても安定している状態って言っているから、片側性平衡咬合を作っていこう!」
a ⬇
「それじゃ、具体的な片側性平衡咬合ってどんな方法があるの?」
a ⬇
「片側性平衡咬合には、リンガライズドオクルージョン、モノプレーンオクルージョンがあるよ!」
「まあ、だいたいリンガライズでカバーできるかな〜」
a ⬇
「うん、これで、義歯が安定する片側性咬合平衡という状態が得られるね!」
少し、わかりずらかったかもしれませんが、時期をみてまた、記事をリライトできればと思います。
参考までに、咬合様式の記事も。
これからも、集合知を作っていって、無駄な悩みを省いていければ幸いです。




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