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病態
歯根嚢胞は最も発生頻度の高い顎骨嚢胞。Malassez上皮遺残の活性化と増殖により根尖部に生じた炎症性の嚢胞である。
歯根部にみられる炎症性肉芽種。
炎症性肉芽組織と線維性結合組織のみで上皮構造がないのが歯根嚢胞と異なる。
症状
・一般的に違和感以外の自覚症状はなし。
・無髄処置歯のエックス線写真検査によって発見されることが多い。
・ 増大とともに顎骨の膨隆がみられる。
・ 骨吸収が進み、骨が菲薄化すると羊皮紙様感、さらに特に大き骨が完全に吸収してなくなると波動を触知することがある。
歯根嚢胞が上顎前歯部に生じた場合、根尖部から鼻腔底に肉眼的なみられる膨隆
好発年齢・好発部位
・20~30代に多い。10歳以下はわずかで、10代を界に増加傾向をたどる。
・女性<男性
・ 上顎は前歯部、下顎は第一大臼歯部に好発する。上下でその分布が異なる。
検査所見
試験穿刺
・粘稠な淡黄色の内容液を吸引する。→多数のマクロファージやコレステリン結晶を含む。
病理組織所見
・嚢胞壁は3層構造で、内側から重層扁平上皮、炎症性肉芽組織、線維性結合組織がみられる。
・内側の上皮層は一般的には非角化性重層扁平上皮である。
・炎症性肉芽組織にはリンパ球、形質細胞、マクロファージ、好中球などの浸潤がみられる。
・嚢胞腔の内容には、帯黄色透明の粘稠な液体で、コレステリン結晶がみられる。
普段、コレステリン結晶としてみていると思われるのは、正確にはコレステリン裂隙です。コレステリン結晶そのものは、標本の作製時に消失します。
画像所見
・根尖の歯根膜腔に連続した境界明瞭な類円形のエックス線透過像。
・嚢胞の周囲には骨硬化像がみられる。
治療
・原因歯の保存が可能な場合:根管充塡のうえ、歯根端切除
・原因歯の保存が不可能な場合:嚢胞摘出とともに原因歯も抜去。
・嚢胞が比較的大きい場合:開窓、副腔形成(PartschⅠ法)
・嚢胞が小さい場合:摘出(PartschⅡ法)、必要ならば歯根端切除
病巣周囲は上皮に囲まれている。そのため、単純な感染根管処置のみでは治癒しにくい。さらに、再発の可能性もある。
そのため嚢胞自体の上皮の摘出と、歯根端切除術を併用することが選択される。
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