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病態
胎生期の第一・第二鰓弓上皮(外胚葉)の遺残と迷入による先天性嚢胞とされている。
症状
・口底正中部が無痛性の腫脹。
・大きさは鶏卵大で半球状で弾性軟で、波動は触れない。
・増大すると二重舌がみられる。舌の運動障害(咀嚼、発音、嚥下障害)をきたすことがある。
・肉眼的に境界は明瞭で表面性状や色調は健常である。
・被圧縮性:圧迫すると圧痕がしばらく残り、独特の泥状感。
性差・好発年齢・好発部位
・20~ 30歳代に多くみられ、性差はないとされている。
・全身に生じる可能性があるが、頭頸部にはみられやすい。
・頭頸部では口底正中部(舌下部)が最も多く、次にオトガイ下部にみられる。
・類表皮嚢胞と類皮嚢胞の発生頻度の比率は7:3で類表皮嚢胞が多い。
検査所見
試験穿刺
・嚢胞腔からは粥状ないし、おから状の角質変性物が吸引される。
病理組織所見
・嚢胞壁は角化性重層扁平上皮によって裏装されている。
・類皮嚢胞では上皮下の結合組織中に皮膚付属器官(汗腺、皮脂腺、毛包、毛嚢など)がみられる。
・類表皮嚢胞では皮膚付属器はみられない。
・ 類表皮嚢胞は病理組織上で角化物を含むことから、歯肉嚢胞、角化嚢胞性歯原性腫瘍(歯原性角化嚢胞)と鑑別。
・類皮嚢胞は皮膚付属器の存在から鑑別。
・内部には角化物のほかにコレステリン結晶や剥離上皮がみられることがある。
画像所見
・CTで境界明瞭な類円形の低吸収像。
・MRI脂肪抑制T2 強調像、T1強調像では低信号。
病態は軟組織内に発生するため、通常の単純エックス線撮影で描出することはできない。
治療
・嚢胞摘出術→予後は良好
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